今回は、地震の三要素の中の規模について、考えていこうと思います。

 

 

地震予知において、規模の予測は、重要です。

小さな規模の地震は、予知する必要はありません。

なので、規模の予想は、幅を持たせるとしても、最小値が重要になります。

 

例えば、“M6.0以上”とする予知と、”M6.0±0.5”では、価値が違います。

なぜなら、最小規模が、前者はM6.0に対して、後者はM5.5になるからです。

ちなみに、マグニチュードが1小さくなると、発生頻度は10倍になると言われています。なので、規模が0.5も小さくなると、発生頻度も約3倍になります。

M6.5を超える確率は、M6.0以上の地震の4割に届きません。

トータルでも、“M6.0以上”より”M6.0±0.5”の方が、発生頻度が3倍近くに増えます。

また、マグニチュードが大きいほど、被害が急激に増えます。

だから、重要なのは、マグニチュードの予測の最小値なのです。

 

 

 

 

地震の規模は、マグニチュードで表されます。

マグニチュードは、地震によって放出されたエネルギで、下式でジュールに換算できます。

 

 E=10^(1.5M+4.8)

 

 E:エネルギ(単位:J)

 M:マグニチュード

 

 

では、マグニチュードは、どのように算出するのでしょうか。

マグニチュードの算出方法は何種類かありますが、最も精度が高いとされているモーメント・マグニチュード(以降、Mwとする)について考えます。

 

Mwが、最も精度が高いとされる理由は、物理量から算出するためです。

具体的には、以下のように算出します。

 

 Mw=(log10(μ・D・S)-9.1)÷1.5

 

 μ:剛性率

 D:平均変位量

 S:震源断層面積

 

 

剛性率は、概ね、震源の深さに比例します。

平均変位量は、概ね、震源断層面積の平方根に比例します。

 

地震の規模を予測するためには、震源断層面積を予測しなければなりません。

震源断層面積は、地震で実際に滑った面積です。

断層の中で、実際に滑るであろう範囲を予測しなければなりません。

 

 

震源断層面積を知ることができれば、マグニチュードをかなり正確に知ることができます。

前述のように、震源断層面積と平均変位量は、概ね比例関係にあります。

 

剛性率は、震源の深さに比例しますが、概ね30〜150MPaの範囲です。

5倍の開きがありますが、マグニチュードに換算すると±0.2余りの差にしかなりません。

つまり、震源断層面積を正確に知ることができれば、マグニチュードは、±0.3以内で予測できるはずなのです。

 

地震の規模は、震源断層面積だけわかれば、問題ないと言えるのです。

 

 

 

但し、震源断層面積の精度は、かなり高くなければなりません。

 

震源断層面積を知る方法は、色々あるはずです。

例えば、アスペリティです。

地震が発生する時、アスペリティの全域が滑ると仮定すると、震源断層面積は、アスペリティの面積と同等以上になるはずです。

この方法では、地震の規模の下限を予測できることになります。

 

もし、アスペリティで滑り残る部分がある可能性が出てくると、地震の規模の下限を予測できないことになります。

なので、必ずアスペリティ全域が滑る理論的な根拠が欲しいところです。

 

 

 

震源断層面積を知る方法は、他にも考えられますが、次に回します。