典型的な日本型の問題のように思います。

 

日本の企業は、経営陣が、事なかれ主義の人間で固められています。

事なかれ主義が良い悪いではなく、事なかれ主義の能力だけが集まり、多様性が欠落していることが、最大の弱点なのです。

 

 

 

ダイハツは、1980年代の終わり頃から、不正が始まったとされています。

1980年代の終わりと言えば、ISO9000シリーズが制定され、世界の企業が認証を受け始めた頃です。

 

元々、欧米各国が、日本の品質管理に対抗するために作り上げたのが、ISO9000シリーズと言われています。

ISO9000を取得しなければ、品質管理されていないと見做されるため、各企業は、ISO9000の取得を目指しました。

 

 

日本企業は、元々、社内の品質管理がしっかりしていたのですが、弱点もありました。

日本の企業は、現場の作業員一人一人の能力が高く、品質管理は、現場の作業員がコツコツと作り上げていました。

これは、各現場に合わせた品質管理であって、体系化されていない代物だったのです。

 

これに対して、ISO9000シリーズは、あらゆる業種で統一された品質管理を規定するため、体系化された品質管理の仕組みを求めていました。

日本企業は、自社の品質管理を、無理矢理、ISO9000の認証用に組み込もうとしたところが多いはずです。

今ある品質管理手法を変えずに、ISO9000に対応させようとしたのです。

当然、様々な齟齬が生まれるため、そのための作業が追加されていったわけです。

ですが、品質管理のための作業が激増し、従来の品質管理を行う時間が圧迫されるようになったのです。

 

 

ダイハツも、同じようなことが起きていたのではないかと、想像します。

 

もし、経営陣や管理職に、物事を体系化する能力に長けた人材がいれば、このような問題を回避できたかもしれません。

ただ、現実には、失敗をせず、上手く切り抜けていく人材ばかりが集まり、ビジョンを示さず、責任ばかり押し付けるため、事なかれ主義的に仕事をこなしていかざるを得ない状況が生まれたのです。

 

どんな内容であれ、どうすれば実現できるのかを考えず、当然、実現方法を示さず、命じるだけなので、現場は動きを取れなくなっていきます。

働き方改革でも、就労時間を制限するだけで、どうすれば短時間に終わらせることができるのかを示すことはありません。

規定は増える一方で、統合して減らす決断をできる人物がいないのです。

 

この部分にメスが入らなければ、日本企業は、一つ、また一つと倒産、売却され、外国資本によって食い潰されることになります。

 

 

 

 

これに似た問題は、MRJでも取り上げています。

早い話、事なかれ主義と、失敗を許さない風土の根底にある、上層部の致命的な能力不足が、このような大きな失敗に繋がっているのです。

 

 

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