日本が持つべき正規空母を検討してきましたが、その活躍の場はあるのでしょうか。
 
下の地図を御覧ください。
 
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赤い点は、航空自衛隊の基地の所在地です。
赤い円の半径は300海里(555km)、黄色い円の半径は600海里(1111km)です。黄色い円は、ほぼF35Aの戦闘行動半径(669海里)を示しています。
赤い円や黄色い円の中心は、南から硫黄島、那覇基地、築城基地、百里基地、千歳基地です。他にも、新田原基地、小松基地、入間基地、三沢基地などもあるのですが、前述の5基地だけで離島までほぼカバーできています。カバーできていないのは、南鳥島だけです。
 
南鳥島は、かつてはアメリカ沿岸警備隊がロラン局を運用していましたが、ロラン廃止に伴い撤退し、現在は気象庁の職員と航空自衛隊員が常駐しています。
1370mと短いながらも滑走路があり、航空機の運用が可能です。
上の地図で青色と水色の円は、南鳥島を中心とした戦闘機の戦闘行動半径を示しています。青色が半径300海里、水色は半径600海里を示しています。
 
これらを見ると、日本の国土を守ることにおいては、空母を運用する必要性は低いように思います。
 
 
なので、少し条件を厳しくしてみましょう。
 
日本の防衛において、キーになるのが硫黄島です。
もし、ここが火山噴火によって使用できなくなった場合、どうなるのでしょうか。
ここは火山活動が激しい島です。実際、鉢伏山の火山活動が活発になっていることが、確認されています。
硫黄島が使えなくなると、小笠原諸島の防衛に支障が出ます。小笠原諸島には民間の空港もなく、民間を含めても最も近い飛行場は八丈島となります。八丈島から小笠原諸島までは375海里(約700km)もあり、小笠原諸島の上空に滞空できる時間は制限されてしまいます。
実際には、空中給油を行うことでカバーはできますが、選択肢が減ることは確かです。
 
もし、正規空母があれば、200海里前後の距離から発進して攻撃を加えることができるので、防衛の選択肢を一つ増やすことはできます。
 
 
 
私は、正規空母の所有は無意味ではないと考えています。
ただ、その価値は専守防衛においては、極めて限定的になるだろうと思います。
ですから、限定的な利用価値に対するコスト(空母の建造と維持、艦載機の購入と維持)は、きちんと検証されなければならないと考えています。