「リトルダンサー」; 父性愛の美しさとイギリス社会の不条理さと見事に融和した作品 | これは名作・迷作

「リトルダンサー」; 父性愛の美しさとイギリス社会の不条理さと見事に融和した作品

リトル・ダンサー









この作品の見所はやっぱり父親の子供を思う気持ちに尽きる。はじめはこのお父さん、子供のことあんまり好きじゃないんだなと思っていたから、途中からの豹変振りにはびっくりうれしかった。逆にそのギャップがあったから感動したのかもしれない。

しかしこの作品の面白さは、その舞台背景、つまりイギリスの階級制度を批判しているところにあると思う。イギリスでは階級制度がいまだに根強く残っている。階級が違えば言葉も違うし、入る大学さえも違う。労働者階級で生まれたら死ぬまで労働者階級というのがその人の運命である。つまり選択の余地がない。ダーラムなどのイギリス北部地方の町はまさに労働者階級のるつぼなのだ。
それゆえ映画の中で主人公がロンドンのバレエスクールに入るというのは、イギリスの常識を覆すことになる。面接官が明らかな軽蔑の表情を持って父親に質問をするところでそれは見て取れる。表面的には日本の一般家庭と金持ち家庭の違いくらいにしか見えないが、イギリスのそれは日本の違いとは似て非なるものである。まさにブリティッシュドリーム。
・・・この映画はドラマ性と社会性を持ち合わせた素晴らしい作品である。