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3331千代田芸術祭スカラシップ受賞者展vol.5

久しぶりの投稿です。&もう既に終わった展覧会ですが… 
(鑑賞後すぐ投稿しようとしたが、長文書いている途中でアメブロが止まった…そして萎えた)
(今回は下書きして~の流し込投稿にする。 たくっ! 最近のアメブロはどうも遺憾)

私が作品を持っている作家『かみむらみどり』さんが受賞したので見に行った。
受賞作:内省刺繍‐54の後悔





私が作品を買った2年前とは大きな変化があった。新境地を切り開いていると思った。
まず、以前は自身のことを版画家であると言い、版画作品を創っていた。
それが今回は刺繍を使ってインスタレーションにまで発展させている。
しかし、そういう(表面的な)表現手法の変化より、私が着目したのは内面の変化。
以前、買った作品をコレクション展に出そうとしてプロフィールを求めたら

出身大学は書かない ⇒ 美大ではないから…
作家の経歴は少ししか書かない ⇒ 大した個展もしていないし、キャリアが浅いから
年齢は書かない ⇒ 年配になってから始めたので、もういい年なので…


彼女の人生までは知らないが、作家としてはコンプレックスの塊だった。
しかし、今回は自分の子育てや親の介護などで感じた『後悔』をテーマに作品化し、自分をさらけ出していた。

コンセプト
刺繍そのものが作品ではなく、刺繍に費やした時間(内省)を後悔と向き合った時間として表現。
テーマ① 破棄:それをゴミ箱に捨てる、床にバラバラに捨てる。
テーマ② 封印:それを身につけて写真に撮り画面に閉じ込める、また瓶の中にも閉じ込める。

封印のテーマでは自身の顔写真を大きくプリントしてさらけ出している。
また、54の後悔の54は年齢のことであり、そこも晒している。
同賞の応募時にプロフィールを書かなければならなかったのだとしても、作品の中に、それらを反映させることとはまた違うと思った。
彼女は刺繍をする時間、自身の後悔と向き合うことで、それらのコンプレックスとも向き合ったのだと想像する。

彼女は鴻池朋子賞を受賞していた。鴻池さんのコメントに以下のモノがあった。
(以下抜粋編集)
― 貪欲な集中力、そして作品がまったく洗練されていないことが素敵だと思いました。作品とはコンセプトに関係なく、その人の芯のようなものが見えてしまう ―

その通りだと思うし、今回の作品には彼女らしさがすごく出ていました。
おそらくは彼女自身が書いたのであろう作家プロフィールにはこんな一言があった。
― 家事の合間にリビングの片隅で制作しています ―

多分、自分は主婦であり、創作活動だけで飯を食えるプロではないです~的な奥ゆかしさだと思う。
しかし、そもそも芸術はおいそれと飯が食えるモノではないので、そんなに気にしないで、と思ってしまう。
(売れる作品が必ずしも良い作品とは限らないし、突き詰め過ぎた作品は逆に売れない)
それに、それで飯を食っている作家だって、家事も子育てもするし、「家事の合間に制作」しているのか「制作の合間に家事」をしているのかはどっちでもいいと思うけどな~
ま、しかし、その奥ゆかしさも彼女らしさなので、それならいっそ「主婦の視点で感じることを自身の作品のオリジナリティ」にする位に開き直ってほしいものだ。

コンプレックスはおそらく一生消えない。(これは私自身のことを言っている)
しかし、劣等感は負の要素だけではなく、それがあるから頑張れるということだってある。
だから、それと向き合い、時に何かの仕事に昇華されることが出来ればよいのだと思う。

たくさんの作家を見るのもいけど、一人の作家を長く見るのもいいなと思った。
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