乳がん検診は、「科学的根拠の基づくがん検診法の有効性評価とがん対策 計画立案に関する研究」班が作成しています。
それが「有効性評価に基づくガイドライン」です。
有効性の評価とは、検診によって死亡率を低下させる効果が明らかであるかどうかです。
有効性の検討の結果、乳がん検診の推奨グレードは下記のようになっています。
推奨グレード
1)マンモグラフィ単独法(50~74 歳):推奨グレード A
2)マンモグラフィ単独法(40~49 歳):推奨グレード B
3)マンモグラフィと視触診の併用法(40~64 歳):推奨グレード B
ただし、視触診が適正に行われるための精度管理ができない状況では実施すべきではない。
4)視触診:推奨グレード I(現時点として実施を推奨する根拠が不十分)
ここで、視触診は、3)、4)の項目に入っています。
3)マンモグラフィと視触診の併用は、推奨グレードBです。
しかし、『視触診が適正に行われるための精度管理ができない状況では実施すべきではない』という注意書きがあります。
根拠となっている研究は、アメリカ・カナダなどの論文から引用されています。
そこでは、『視触診はトレーニングされた看護師による分離併用法で行われた』と記載されています。
日本の乳がん検診においては、視触診はほとんど医師が行っています。
しかし、その精度管理やトレーニングについては、現状では策がとられていません。
自分の経験(精密検査に来院する方の結果)では、視触診の結果に信頼性が感じられないことも多い状況です。
乳がん検診で、視触診を項目として有効にするのであれば、その基準と具体的なトレーニングが必要であると考えます。