はい、事務部Aでございます。

 

 去る5月11日前後に世間を賑やかせた太陽フレアについて解説したいと思います。

 

 太陽は約11年周期で活発化し、フレアを乱発する時期があります。これが今年から来年にかけてその活発化の周期にあたり、太陽の黒点が極大化します。

 

 太陽黒点は太陽の表面磁気が収束する個所であるため、太陽の大気(プラズマ化した水素)をレールガンのように爆発的に宇宙空間に放出します。

 この現象を太陽フレアとかコロナ質量放出といい、紫外線やX線、高エネルギー粒子を宇宙空間にばらまきます。そのばらまいた先に地球があると地球の地磁気と影響してオーロラを発生させたりします。

 

太陽フレアによる炎の輪(推定放出エネルギー量は水素爆弾1億個分)

 

 本来ならば北極や南極などの極地方でしか見られないオーロラが、低緯度の神戸やハワイなどで今回観測されたのは、それだけ放出された粒子数が多く、またエネルギー量も大きかったためです。

 

 オーロラが世界各地で見られるだけならば結構なことですが、悪い影響も多々あります。

 地球には地磁気による一種の電磁気バリアがありますので、ある強さまでは地表にいる我々は影響を受けません。が、地球の周りを回っている人工衛星や宇宙ステーションは大きく影響をうけます。

 

 人工衛星の太陽電池パネルが劣化して衛星の活動寿命が短くなるとか、内部回路がショートして動作不能になるとか、宇宙ステーション内で活動している方々が過剰に放射線を浴びてしまう可能性が高まるとか。

 特に現在は自動車だけではなく航空機もGPS信号で位置把握をしているので、GPS衛星が狂うと大事故に発展する可能性もあります。

 

 記録にある1859年のキャリントン・イベントと呼称されるスーパーフレア放出現象時には、地表の送電線がショートし、北アメリカの電報システムが停止。世界中でオーロラが観測され、深夜にもかかわらず早朝のように空が明るかったとあります。

 電子化が進んでいなかった19世紀だったため、総被害は少なかったようですが、現在、同レベルのスーパーフレアが地球を直撃した場合、電力や通信システムが軒並みダウンし大混乱を起こす可能性もあります。

 

 今回のフレアの強度は5月11日でX5.9。フレアの強度はA→B→C→M→Xの順に数値が10倍になり、Xが一番強い単位となります。

 最近では2003年11月に発生したスーパーフレアはなんとX28。地球に直撃しませんでしたが、かすっただけで地表に大きな混乱を生じさせました。この数値は国立研究開発法人情報通信開発機構の【宇宙天気予報】のホームページで確認できます。

 

 太陽活動期は来年が本番のため、大規模停電のような災害が起こる可能性は0ではありません。

 携帯電話等が使用不可になるかもしれませんし、周りがいきなり停電して、信号機が一斉に停止するかもしれません。

 その時は一旦冷静になって安全確認をお願い致します。