全国各地の美術画廊(百貨店など)で企画展を開催している。
会期中はお客様のリクエストに応じて版画の制作を実演するのだが、
度々不思議な事が起きる。
例をあげると限がないが、仙台での事である・・・
「お願いします。私たち二人を彫って頂きたいのですが」
若いカップルである、新婚だそうだ。
そして希望を聞くと、サイズを大きくして一つの版木に二人を彫って欲しいと言うことである。
勿論、快く承る。
男性の目と女性の目を彫りいれる。
私の技法は目から彫るのを特徴としている。
そして、上半身の男女像が完成に近づくころ・・・
またもや目を彫りたくなり、何となくでは有るが二人の間に向かい合う鳥を彫っていた。
その時である。
「あ、そうだ〇〇ちゃんを彫って貰えば良かったね」と奥さんが言った。
「本当だね、あれ?」ご主人が奥さんの肩を叩き、私の手元を見る。
「えー!」二人して驚いている。
「どうしたの?」そばに居たスタッフが声を掛けると、奥さんが説明を始めた。
私は気にせず黙々と彫り続ける。
「私たちは結婚前に、お互いフクロウを飼っていました。
それが縁で結婚をすることが出来たのですが、
一世帯で二羽のフクロウは飼えないので、実家に一羽置いて来たのです。
ですから私たちの幸運のフクロウを版画に彫っていただけたらと思っていたのですが・・・
そしたら・・・もうすでに・・・」
「え!」私も彫る手を止めた。
先程の二羽の鳥を線で結んだらフクロウになっていたのだ。
全くの偶然では有るが、二羽の鳥が一羽のフクロウに・・・
奥さんの説明通りに・・・しかも・・・話し出す前にである。
私はどうやら彫っている時にだけインスピレーションが働くようである。
似たような事が時々起きるが、それは私の能力では無いと思う。
彫られる側の人達の強い想いが、私の手を通じて画面に表現するのだと思う。
そして鳥類が関係するエピソードが多いのも特徴である。
実際に私の版画には鳥が度々登場する。
何かの縁が有るに違いない・・・鳥を愛し労ろうと思うのだった。
・・・そして仕事も終り、今日も居酒屋に行く!!
「取り合えず生ビール大、それと鶏のから揚げ」元気に注文する。
困ったことに、食べる方も鳥が好きであった・・龍
若鶏の竜田揚げ
