セリ鍋 | 版画家・君島龍輝 オフィシャルブログ☆たっちゃんの今日は何食べる?☆

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私が各地で出会った美味しくて不思議な一品をご紹介。さーて今日は何を食べようかな。

澄み切った水面には人間の煩わしさなど無縁の様な気がした・・


一人佇み反映を感じ、終演を待つ。


ああ、これが生きると言う事なのか・・


緑心の精悍さは私の心深に足跡を残す。


僅かながらの水泡が光を受けて幸せの福音を奏でた・・


版画家・君島龍輝 オフィシャルブログ☆たっちゃんの今日は何食べる?☆-セリ鍋


「先生!もう食べごろです!」


・・・?


「え、もうできたの?せっかく感傷に浸っていたのに・・・」


「はいー!セリ鍋はこのくらいが美味いんです」


私の目にはセリといううより唯の根っこの様に映る代物であった。


この店の名物らしい・・地鶏とセリの根の鍋である。


店に入る前は想像が付かなかった。


「今日はせりの根を食べましょう!」


私の想像では根野菜を想像していたのである。


しかし出てきた物は想像を遥かに超越したものであった・・


髭と言うか、いや完全に髭である。





しばし鍋が沸騰するまで私流に表現をしていたのだが・・


大東君といると調子が狂うのである。


または食に対して調子が合うとも言える。


「わ!半分無くなっている」


彼の前では考えている暇などない。


「追加!2人前」


私は完全に遅れを取った・・


「美味い!地鶏の出汁がセリの根と一体となっ・・・てって!オイ」


ふと鍋を見ると追加分が既に投入されているではないか。


しかも大東君は半生状態でセリを食べている。


「大東君、それは止めた方が良いよ」


「・・・」聞く耳を持たない。


「だから、それは鶏肉だって!生だって!」


「・・・」完全に放心状態であるが左手でピースをしている。


しばらくすると「お待たせしましたセリ鍋二人前です」


左手はピースでは無く二人前の合図で有った。


その後ピースは幾度となく出るのである・・




「お、お、おー!」


久しぶりに大東君の秘儀「小蝶の舞」が披露された。


両手に箸を持ち、片方で鍋に具を入れ、そしてもう片方で口に運び入れるのである。


その様はまるで2匹の蝶が舞うよに見える事から彼の奥さんが命名したのである。


しかし、今日はセリの根っこの為か、どう見てもずぶ濡れのケムンパス にしか見えなかった。




そして戦い?は終焉を迎えた。


私は完全敗したのである。


18人前の内の3.5人前ほどの実績で有った。




「ご馳走様でしたー」


大東君は満足そうであった。


確かに美味かったのは事実である。


そして私は会計の伝票にメモを挟んだ。


帰り際に店長が挨拶に見えた。


「メモを見ました。ははは・・本当ですね」


しばらく二人で笑っていた。


大東君は首を傾げている。


「先生、メモに何って書いたのですか?」


「ははは、それはね・・内緒」


「えー、教えて下さいよー」


「ダメ、ダメ・・」私は敗北を取り返した気分であった・・龍





PS:メモには「競鍋だけに焦ります、美味しいからでしょう根、ごち草さま」と書いたのである・・