もう8月も終わっちゃたね。チビッ子のみんなは夏休みの宿題は、ちゃんと終わったかな? 僕も毎年、最終日に四苦八苦していましたよ。


 小6のその日もヒーヒー言っていた。そんな時、静寂を切り裂くデリカシーの無い声。「ナッチ~、遊ぼ~!」

 声の主は河野君、通称カワノッペ。中学生になると、思春期のせいか、おとなしくなってしまったが、当時はクラス一の下品な男の子。「暑いからプール行こうや!」 
 あまりにもグイグイ迫ってくるので泣く泣く承諾してしまった。ちなみに「ナッチ」とは地元での僕のアダ名です。いまだに、しんたろうもこう呼びます。

 「もう1人誘おうや!」と言うカワノッペに連れられやって来た、次なる犠牲者の家についた。先日このブログにも登場した、初代インパスターズ・トロンボーン、現医者のイシイ君の家だった。
 イシイ君も最初は渋ったが、彼は大きなゴムボートを持ってついてきた。嫌いじゃないね。

 3人でのプールは、正直あまり楽しくなかった。頭の片隅にやり残した宿題のこともあり、ゴムボートというリーサルウエポンでも心は弾まなかった。ただカワノッペ1人だけは大いに楽しんでいた。


 「あっ! ナッチ~!」 そこに同じクラスの女子が4,5人現れた。「うわっ! 何ボート持ってきたの? ちょっと貸して?」

 イシイ君もプールにあきてきていたので「別にいいよ。」という感じで何気なく貸した。しかし、ただ1人、カワノッペだけは心中穏やかではなかった。

 「何で貸すとや?! オレ達からボートをとったら、何も残らん!」「・・・?」

 半泣きで地団駄を踏むカワノッペ。力ずくで取り返そうにも、小6当時は女子の方が体が大きい。

 「よし! ナッチ、イシイさん、ついてきて!」

 カワノッペは僕達2人をつれて歩き出した。ちなみにイシイ君のアダ名はイシイさんです。で、たどり着いた場所は管理事務所。カワノッペはおもむろにドアを開け、こう叫んだ。


 「シー・ジャックされました!!」

 「!!?」これは確実にシー・ジャックと言いたいだけです。でもボートは僕達の元に返ってきました。でも2学期の初日、カワノッペは女子連中に詰め寄られていました。


 この時期、毎年この時の事を思い出す。嫌な思い出です。


ゆう