「複雑な彼」という映画がある。大映製作の田宮二郎主演の映画。原作は三島由紀夫。主人公の職業はパーサー(飛行機の客室乗務員)、だが謎が多く、暗黒街とのつながりもある。

 この主人公のモデルは安部譲二。「塀の中の懲りない面々」でおなじみの、あの、安部ちゃんです。彼は波乱万丈の人生を生きてますからね。


 この前のライヴに懐かしい友人がやって来た。正確にはライヴ終了後に、「今宵、三男と共に・・・」だけを見にフラっと現れた。

 2年ぶりぐらいに再会したこの男、名前をイシイ君といい、僕の小、中学校の同級生です。それだけではなく、インパスターズの初代トロンボーンという肩書きも持っております。もともと、サックスで加入したのに、初ライヴ1週間前に勝手に「オレ、トローンボーン!」と宣言した男。僕としんたろうと青山は、客席から彼を見てました。(イシイ君が辞めてから3人は加入)


 この男イシイ君、今は立派に医者をやっております。ただ学業の為バンドを辞めた訳ではない。高校中退の彼は、バンドを辞めて久し振りに会った時、いつのまにか医大生になっていた。25才ぐらいの時です。
 高校中退~ 瓦屋~ 上京してインパスターズ~ 三軒茶屋でトロンボーンとギターを真っ二つにへし折り失踪~ 医者と、波乱の人生を送る彼・・、まさしく「複雑な彼」です。

 まさしく、中学生にしてアブノーマル・セックスを題材にした小説を書き、それを読んだ江戸川乱歩に「この子は頭がおかしい!」と言われ、その後ヤクザとパーサーの二束のわらじを履いた男、「安部譲二」みたいな男の子です。

 イシイ君は三島由紀夫も江戸川乱歩も大好き。多分、彼自身、文才もあるだろう。しかし今の彼は、乱歩でも由紀夫でもない、ジョージだ! もうそろそろ、声もつぶれてくるだろう・・。


 複雑な彼、イシイ君は今、「脳」の研究をしている。将来、大発見をするかもしれない。しかし、我等インパスターズのメンバーは全員、口を合わせて言う、「奴は研究される側だ!」と・・。
 確実に僕の人生で出会った人類の中で、1番頭がおかしい! 馬力がちがう!

 目指せ! ノーベル新人賞!


ゆう