私事ながら、9月に誕生日をむかえ、また1つ年をとりました。もうそろそろ貫禄が欲しいです。

 でも貫禄なんて、まだまだでしょう。普段、インパスターズのライヴではヌンカス(マラカスヌンチャク)を振り回したり、パンをむさぼり食ったりと、ワンパク中年を装っていますが、本当の僕はワンパクとは無縁の臆病者です。ウサギ中年です。


 2年ぐらい前、こういう事がありました。

 当時、家の近所に100円ショップがありました。徒歩3分ぐらいの所にあったので、けっこう重宝していました。
 ただ・・・、お店の人が、あからさまにおかしいんです。30才ぐらいの男性が1人でやっているのですが、挙動不審で目つきも怖いんです。これは僕の想像ですが、きっとその男は店のオーナーの息子で、リハリビがわりに店をまかされていると思われます。多分この推測は当たっています。

 昼時に行くと、大体レジで弁当を食っています。弁当を食いながらレジを打ちます。

 腕に無数の傷跡があったこともありました。両腕に20ヶ所ずつぐらい、カッターで切ったような傷があるんです。男は傷を隠すことなく、半袖でデ~ンと構えています。パッと見、長袖です。

 
 で、ある日・・・

 日曜日のお昼前、僕はその店に行きました。店内に客は僕1人、男は棚の整理をしています。そして数分後、男が整理していた棚から商品が1つ床に落ちました。

「ウガーーーッ!!!!!」

 急に男が奇声をあげ暴れだしました。商品が落ちたことに激高したのでしょうか?

「ガーッ! ガーッ! ウガーーーッ!!!」

 男は棚という棚を目茶苦茶にして、地団駄を踏み、商品のほうきを振り回したりしています。僕は店の端っこでブルブル震えています。店の外には、けたたましいノイズにより野次馬が集まっています。

「ボーッ! ボーッ!」

 僕はスキをみて外にでた。およそ20人の野次馬の視線が僕に刺さる。無言で下を向き、小走りで僕は去った。いや、逃げた。
 あのとき、僕にもうちょっと度胸があったら、ちゃんと商品を買い、真正面を見据え、ゆっくりと歩いて帰っただろう。リベンジしたいところだが、そのお店はこの日を境につぶれました。


ゆう