$失敗しない輸入中古車選び

クルマはまずエンジンを何cc、何気筒にするか、次にそのエンジンをどこに置き、どのタイヤを駆動するか…が決まっていきます。そしてホイールベースをどのぐらいにするか…が決まります。これは、そのクルマを基本的に決定づける大事なポイントです。この基本レイアウトが決まって初めて、室内をどうするか、人間をどう座らせるか、トランクルームをどうするか…という「パッケージング」が始まるのです。

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現代の小型車のごく一般的なレイアウトは、ホイールベースが2400mmほどで、1.5Lぐらいのエンジンを前に置き、前輪を駆動するというものですが、多くのクルマがこのカタチに落ち着くまで、クルマのレイアウトには長い変遷の歴史がありました。

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最も初期のクルマは、カール・ベンツのつくった三輪車を見ればわかるように、エンジンを床下に置いた、一種のミッドシップのようなものでした。しかし、やがてフランスのド・ディオン・ブートンやパナール・ルヴァソールあたりから、エンジンを前に置き、そこからトランスミッション、プロペラシャフト、ディファレンシャルを介して、後輪を駆動する…というレイアウトが、一般的になってきます。これをフロントエンジン・リアドライブ(FR)と呼びます。

▼シトロエンの創業者 アンドレ・シトロエン
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FRに対して、エンジンを前に置き、前輪を駆動するフロントエンジン・フロントドライブ(FF)が考え出されたのは、1900年代のことです。初期のFFは、ハンドリング性能のために考案されました。インディ500に出場したミラーというレーシングカーは、なんとFFを採用しています。アンドレ・シトロエンが、第二次世界大戦前、トラクシオン・アヴァン(前輪駆動)をつくったのも、実はスペースのためではなく、直進性の良いハンドリングを重視したためでした。

▼インディ500のFFレーシングカー・ミラー
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欧州大戦が終わると、ポルシェ博士の設計によるVWビートルが登場します。これはエンジンを後ろに置いてトランスミッション、ディファレンシャルを介して後輪を駆動するレイアウトでした。いわゆるリアエンジン・リアドライブ(RR)です。合理的設計のビートルは、やがてアメリカに輸出されて、以後、世界を席巻し、ルノーやフィアットをはじめ世界中の小型車メーカーが、ビートルにならえとばかりにリアエンジンの小型車をつくることになります。

▼VWビートル
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しかし、このレイアウトには大きな欠点がありました。それはトランクスペースが取れないということです。前にエンジンがないのだから、簡単じゃないか…と思ってしまいそうですが、クルマは前部にステアリング装置のためのスペースを確保しなければなりません。このスペースは意外と大きく、どうしても前部のトランクルームは、その大きさを制限されてしまうのです。結局、リアエンジンレイアウトは、段々と廃れていき、今ではポルシェなどに残っているぐらいです。

▼ローバーミニ
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ビートルのリアエンジンレイアウトに引導を渡したのは、イギリスで働いていたギリシャ人技術者で、天才と称されるアレック・イシゴニスの手により開発されたミニでした。ミニのレイアウトのすごいところは、FFでエンジンを縦置きにせず、横置きにしたということです。ミニは横置きされたエンジンの下にトランスミッションを抱えるというレイアウトで、なんと長さが3m少々、幅1.5m足らずという小型車の中に大人4人を乗せることを可能にしたのです。

▼アレック・イシゴニス
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ミニは大成功を収め、世界中のメーカーはイシゴニスのアイデアをこぞって真似したのですが、その中で一番上手く真似したのが、これまた天才と称されるフィアットの主任設計技師であったダンテ・ジアコーザでした。ジアコーザは、トランスミッションごとエンジンを横置きにするという新しいFFのレイアウトを考案しました。これがフィアット128です。

▼ダンテ・ジアコーザ
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ミニで実現した現代FFのアイデアは、フィアット128で決定づけられました。この二人の天才のアイデアが合体してから、FFレイアウトは世界的に普及していきます。現在、世界中のクルマの70%近くが、エンジン横置きのFFレイアウトを採用しています。

▼フィアット128
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エンジンの横置きレイアウトは、小型車にとって極めて合理的なレイアウトと言えます。室内スペースとトランクルームを比較的大きく確保できますし、プロペラシャフトがないぶん、FRより軽くつくれます。しかし、インディ500に出場したミラー以来のウイークポイントである、エンジンが高パワーになると、トラクション(駆動力)が上手くとれない…という点は、依然としてそのままです。

▼メルセデスベンツAクラス
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自動車の歴史で、新しい基本レイアウトが生まれてくるのは、極めて珍しいことですが、メルセデスベンツのAクラスは、ミニ以来、約35年ぶりの提案でした。Aクラスで注目されたのは、フロアパネルが二重になっており、エンジンをその中に置く…ということです。

▼パナール
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フロアパネルを二重にするというアイデアは、実はメルセデスベンツのオリジナルのものではなく、かつてフランスにあったパナールという乗用車が用いていたものです。メルセデスベンツもこれを参考にしたと明言しています。そのパナールも気付かなかったところですが、メルセデスベンツは、この二重底のフロアパネルで安全性を考えたのです。Aクラスは幅1.66m、長さ3.35mというごく小さいクルマですが、いざ事故の際は、この頑丈なフロアパネルにエンジンを落としてしまえば、そこに引っかかって、室内に飛び込んではこない…と考えたのです。

▼トヨタ・エスティマ
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こうした新しい基本レイアウトの提案は、日本にもないわけではありません。それはトヨタのエスティマです。エスティマはボディの下にエンジンをほとんど横に倒したカタチで抱え込む後輪駆動のワンボックスカーです。FFベースのホンダ・オデッセイなどに比べると、若干床が高くなるのが弱点ですが、トヨタ曰く、FFベースのミニバンより、こちらのほうが、はるかに安全性が高いと言います。前にエンジンを置いていませんから、十分なクラッシャブルゾーンがつくれるということのようです。

▼4WD車のスバル・アルシオーネSVX
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4WD(四輪駆動)も自動車の基本的なレイアウトのひとつです。しかし、4WDは乗用車の世界ではなかなか普及しません。4WD乗用車が世界的に普及しない最大の理由は、重くなることと、その結果、燃費が悪くなることです。また、いかに4WDであっても、車高の低いクルマになると、少々の雪程度ならいいですが、悪路の走破性はさして高くありません。確かに4WDの走破能力は極めて高いのですが、悪路の走破性は四輪駆動であることより、むしろロードクリアランス(地上高)の高さのほうがモノを言うのです。

▼トヨタ・MR-S
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この他に、少し特殊なレイアウトですが、スポーツカーがよく採用するミッドエンジン・リアドライブ(MR)、いわゆるミッドシップがあります。ミッドシップは、エンジンを前輪と後輪の間に置いて、重心をクルマの中央近くにもってくるレイアウトです。これはコーナリング時の安定性を求めてのことです。ミッドシップは主にレーシングカーが採用するレイアウトですが、国産の市販車では、ホンダのNSXやビート、トヨタのMR2やMR-S、マツダのオートザムAZ-1などに採用されていました。2007年のMR-S製造中止を最後に、現状では姿を消してしまっています。

▼初代・VWゴルフ
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ミッドシップは、座席のすぐ後ろにエンジンがあるので、とにかくうるさくなります。また、トランクスペースが全くと言っていいほど確保できません。このため、乗用車にはあまり向いていないレイアウトと言えます。かつてVWがポルシェデザインの提案で、ビートルの後継車としてミッドシップの4ドアセダンをつくろうとしたことがありましたが、このときは技術的に難しく、結局、この企画に代わって生まれてきたのが、FFのVWゴルフでした。

いまや日本ではほとんどの小型車がFF化しており、1.8Lより下の後輪駆動車は見掛けません。しかし、そういった小さなクルマで後輪駆動が欲しい…というユーザーも少なくないと思いますし、そんなクルマが登場してくればヒットするかもしれませんね。

ken





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