当院でインプラント治療を始めて早、27年が経ちました。以前は、きむら歯科(西28丁目駅)で行っていましたが、8年前に現在の円山のハートランド円山ビル3階に、インプラント専門クリニック(当時は きむら歯科 円山インプラントオフィス)を開業して、インプラントと自費治療を専門に行っています。(現在はマロ・クリニック札幌)
その27年のインプラント治療の中で、いわゆるご高齢と言われる70歳以上の患者様はたくさんいらっしゃいます。
実際にインプラント治療をされ、大変満足していただいています。
 
しかし、インプラント治療をしたいと思っても、家族に反対された、かかりつけの歯科医師に反対されたと、残念そうにお話しになる患者様もいらっしゃいます。
 
反対された方から聞かされた残念な言葉が次のような言葉です。
 
「もう年だから、お金の無駄じゃない?」と子供に言われたので、あきらめます。
 
私はこれには、少々悲しい思いをいたします。
 
数あるアンチエイジングの中で、健康な歯ほど効果的なものはないと思っています。
歯がなくなってからの治療は、病気の治療ではなく(もちろん痛い場合は別ですが)むしろ健康維持のために必要な治療です。病気ならやむなく治療をせざるをえませんが、インプラント治療の場合は、病気ではないので、選択の余地があり、それゆえご高齢の方は、悩むところのようです。
 
よく噛めること、人前できちんと話せ、笑えること、しっかりと噛み合わせがあって姿勢を支えること。これが歯の大きな役割です。細かい役割はもっとたくさんあります。
 
残念ながら、厚生労働省の調査では、65歳以上くらいから歯を失ったの割合が増えて、75歳以上になると総入れ歯をいれている方の割合がぐんと増えてきます。
はじめはタダだった歯も、たくさん失ってしまうと、治療にお金がかかります。
ましてやインプラント治療はお金がかかります。
 
しかし、健康のために本当に重要なのです。
体の不調和、首や肩の痛み、胃腸の不調など歯のせいかもしれません。
 
歯は大切に、早期発見早期治療!
そして、歯を失った時には、たとえ年だとしても人工の歯で健康を取り戻しましょう。
 
ある患者様のお話しをいたしましょう。
 女性の患者様ですが、90歳近くのご高齢でインプラント治療することを決断されました。長年使ってこられたブリッジがいよいよダメになり、突然総入れ歯になった時に、全然つかえなくて、インプラント治療の話を聞きたいと紹介されていらしゃいました。
この患者様は、ご主人を亡くしてお一人暮らしでしたが、こうおっしゃいました。
インプラント治療するかどうかは、自分で自由に決めることができます。
子供たちには、すべて納得がいくようにお金は分けました。そして、自分のお金は自分のために使えるよう残してあります。子供たちは、なにも言いません。
 
この患者さまは、低侵襲で安全なノーベルガイドというコンピュータを使ったオールオンフォーの治療で、インプラントを入れたその日から、インプラントで支える歯でお食事ができるようになり、大変喜ばれました。
 
自分の健康、自分の人生を自分でコントロールするというこの患者様に、私は尊敬の念をいただかざるをえませんでした。
 
「自分の人生の主役は自分」
 
ということを、教えてくださいました。
年を取ってもこういう生き方をできるように、したいと思います。