煙草のハナシやのうて、モノカキとして今ワタイが思うことを書いてみたいのです。

石の上にも三年と昔から申します。

ちべたい石でも、三年間も座り続けりゃああんた、ほんのりとあったこうなりますやろ。そやさかいなにごとも三年間辛抱せいと。そしたらそれなりの結果がでると。

そういう意味ですわナ。

ワタイの場合、プログラミングやシステム開発の知識でもって、お他人さまの役に立ちたいと考えて本やみな書いたわけではなくて(まったくのゼロやおまへんけど)、文章を書くことでじぇじぇこがもらえたらええな。あわよくばそれで生活できりゃあもっとええなと考えたおりに、プログラミングやシステム開発のことしか書いてじぇじぇこがもらえることがなかったので、しょうことなしにそれを選択したワケや。

けど、なんぼ二十年以上プログラマーやっとるちゅうたかてやね、人間ひとりの知識なんぞしれてまっさかいね、早い時期から「テクニカルライターはあかんな」と考えておったのです。なんしあんた、それだけで食べていけるほどの量書けまへんやん。ネタもあらへんし。一冊五万部も十万部も売れたら別ですけど。

で、創作方面、つまり一般的に言うところの『大衆娯楽読み物作家』ですナ。それを目指そかとボンヤリ思うたのが、忘れもせん二〇〇七年の暮れやったんですわ。

文学と違いまっせ。あくまで創作です。大嘘コンコンチキのハナシをまことしやかに書くやつです。

それまでは、こっから先もそんなこと考えてなかったんでっせ。

ワタイらなんぞ、そのおりもう四十八歳やさかいね。かなりのオクテですナ。

創作モンかて、そないに売れませんのです。ベストセラーになりゃ別ですけど。

では、なんで創作方面を志向したかっちゅうと、こういう理由ですわ。

もともとobjective-Cちょっとも知らん人間がなんぼ考えたところで、本書けるほどのエキスパートにはなれまへんわ。時間をかけて勉強し、実践せんとあかんでっしゃろ。けど、創作ならば、頭からケブリ出るほど考えれば、なんぞ書くことでてきますやろ。要するに、論理的には無限にネタがあるワケですわ。

てなことを思いついてからあんた、もう四年以上経っとぉんせっせ。

『石の上にも三年』なので、とおに諦めなあかん年数です。

実用書ライターには、対象に関する知識があって、普通に意味が通って、ちょっとばかし気が利いとう文章が書けりゃあ誰でもなれまするけど、創作者となると才能ちゅうよう分からんモンが必要でやっさかいナア。

いや、才能云々よか、『創作者になるサダメ』を持って生まれんとあかんのかしれまへん。

古今東西の著名な作家先生がたやみな、こことは違う別の次元に、書かれるべき物語がぎょうさん蓄えられた倉庫があってナ、そことフレッツ光で高速通信できる特殊な力を持ったニンゲンだけが作家になれると言うてはります。

『アカシックレコード』の物語版か。いや、実は物語、すなわち絵空事やのうて、実在するどこかの誰かさんの生活や人生を盗み見てくるだけなのかもしれまへん。

ワタイはそのサダメを背負って生まれてきたかと問われると、かなり自信がないのです。

けど、ちょっとも座り続けてなかったさかいね。途中で立ったり座ったりしとったさかい。昔から落ち着きないんですわ。ま、真剣に精進せやんかったんですナア。

ここはいっちょ、腰据えて今年一年頑張ってっみよかしらなあと思うてます。

それであかんかったら、別のこと考えますわ。

けど、煙草は吸い続けまっせ。日誌も書きます。

それとこれとは、ハナシが別っちゃさかいナ。
「さあ~ごらんなさい。

これは評判の『煙草むすめ』だよ。

八王子村は高尾山の麓。

親は代々狩人で、親の因果が子に報い、生まれながらの煙草のみ。

また見ようといってまたのお目にはかかれません。

見るは法楽見られるは因果。

可哀想なはこの子でござい。

さぁー実ちゃんや。

お客さまに、よおぉく煙草をのむところを見ておもらいや。

ほぉーら生きてるよぉ~」


「うわぁー。お母さん。あのこ。口から煙出してるよ。変なの」

「あれはね。むかーしむかーしは吸うひとがたくさんいた、煙草というものなのよ」

「ふーん。気持ち悪いね」

「不憫だわねえ。あんな小さな女の子なのに。まだ喫煙者がこの世にいたなんて驚きだわ。天然記念物ものよ」

「ねえー。お母さぁーん」

「どうしたの?」

「なんかちょっと、体がだるくなってきちゃったんだ」

「またぁ。しょうがないわねえ。使いすぎは体に毒だからね。はい、覚せい剤」


                                 しまい
ご紹介したいのや。

不健康の使者の一員として比国よりやってきた銘柄なんやけどナ。

これです。

そうとう不思議でやっさかい、よぉ見ておくんなはれや。ちょっと写真が暗いけどナ。

まず表。
実装者流-エッセシルバー表


次に裏。
実装者流-エッセシルバー裏


どうでやす? 不思議でっしゃろ。

「どうでやすもなんも。どのへんが不思議でんねん? こりゃあんた、日本でも売っとう、スリムサイズ煙草『エッセミニ・シルバー T1mg、N0.1mg』でやんが」

TN値までわざわざゆうてもうて、どうもおおけに。

けど、あんたの目ェはフシアナやな。

もっぺん写真をよう見ておくなはれ。

テキがおまへんやろ。

煙草のパッケージデザインをぶち壊して、さっぱワヤにする、あの無粋な警告文が。

おかげで、まことにすがすがしい気持ちになりますナ。

エッセミニは韓国製ですけど、もちろんテキ国では、警告文必須なんでっせ。比国かてそうや。

実は、表の下のほうに小さく、

『Smorking causes cancer』

と書かれてあるんですけど、そんなんじゃあかんやろ、なんぼなんでも。

どういう経緯でかかる警告文ナシのパッケージが製造され、比国で流通したのか。

それを考えると夜もねむれまへん。

もしかすると、どっかの怪しげな店が、警告文を載せんとあかんようになる前から在庫してた、とてつものう古ぅーい煙草掴まされたんかもしらんやろ。

実は、このエッセミニよりさらに不思議な銘柄が混ざってましたんやけど、それはまた後日ご紹介したいのや。

今回の比国煙草シリーズの大トリとしてナ。

「アホかおまえはアホかおまえはアホかおまえは!」

「なんやねんキィ公。いきなり怒り出すヤツあるかい。びっくりするがナ」

「そやかて源やん、ワイのネキでそなして美味そうに煙草のむんやもん。これが怒らずにおらりょかちゅやっちゃ」

「ちゅやつか?」

「ちゅやっちゃ」

「こらワイが悪かったナア。もしかして禁煙しとんのか? それやったら先にいうてくれたらええのや。ほたらワレのネキでは控えよっちゅうもんやぞ」

「禁煙とちゃうねん。断ちモンしてんねや」

「断ちモン?」

「ワイな、メルヘン作家になりとうてな。このたび渾身の名作童話がでけたので、とある賞に応募しましたのや。で、入選を祈念して、一ヶ月間の煙草断ちとしゃれこんだワケや」

「ワレもケッタイなモンになりたがるやっちゃのう。ま、人それぞれロウマンを持って生きとうわけさかい。ええこっちゃ。どしどし煙草断ちしんかいナ」

「けど、やっぱ煙草吸わんと悪い汗でるし、情緒不安定になるしでな、さいぜんもかかと大喧嘩や。もう三日も続けた日やみな、ワイ死ぬ。助けてぇー源やん。ずっとやめてまうつもりやないよって、よけつらい」

「なるほど。で、都合何日ほど続いとうのや? 煙草断ちは」

「今日で二日目や」

「ふ、ふつかぁー? たった二日で死ぬやの、ちょうちんやのぬかしとんかいナ。頼んないがっきゃ」

「『ちょうちんや』とかはいうてへんけど」

「そんなん言葉のアレやないかい。しゃあないのう。よし。ワイがええ方法おせたろ」

「おせてくれるか?」

「おせたる。なあキィ公。ワレ、ふだん何本ほど煙草のんでんねん?」

「一日でひと箱ぐらいや」

「ちゅうことは二十本やな。ほしたら一日十本にせえ」

「え? ほんなら煙草断ちにならんデ」

「そこや。ワレ、一ヶ月間の願かけたんやろ。それを二ヶ月に延長するんや。そしたらつろくとれるやないか」

「んなぁるほどぉー。こらええこと教えてくれた。こぉらええこと教えてくれた。もうこのとおり。礼いうわ。拝みたおすわ源やん」

「たいそうなやっちゃ」

※※

「あがるで。お。にこやかな顔しとる。……え? なんやその煙草盆。吸殻てんこもりやないか。もう願かけやめてしもたんかいな。こらえしょうのないやっちゃのう。そんなんじゃ、メルヘン作家になられへんぞ」

「やめてへんデ」

「そやかて、吸殻がこぉーんな山になったあるやないか。二十本じゃ効かんやろ。ワレとハナシして別れたん、よんべのことやデ」

「これでええのや」

「これでええて……」

「あのあとワイじーっくり考えてナ。一日三十本で、六ヶ月の願かけにしたってん」


                                    しまい

煙草には直接関係ないハナシでんねん。

ニンゲンのあんた、パターン認識力ちゅうのは、そらあおっとろしもんでナ。

この絵をちょっと見てくれまっか?

実装者流-かお

この絵を見て、平気で『目ェつむったニンゲンの顔』と認識したりするわけや。

こんなヘタクソな絵、コンピューターにそう認識させよ思うたら、そらあ大騒ぎになります。

この高機能な、別の表現をすりゃあ、極めてええ加減なパターン認識力のおかげで、風でヒラヒラー、ヒラヒラーと揺れとうせんだくモンをゆうれんと見間違えたりでけるワケや。

目で見るもんだけとちゃうで。聴いたり嗅いだり味おうたりするもんみなそうや。

ここで、セイガクのおりの同級生、M君に登場してもらいまひょ。

彼はこの、ニンゲンのええ加減ナパターン認識力を利用する、面白いこころみを思いつきよったんですわ。

それはね、煙草屋さんで煙草買うおりなんです。

たとえばセブンスターが欲しいとしまひょか。

M君は「『セブンスター』と全部申告しなくても、『ブンスター』、いや『ンスター』で分かるのと違うか」と考えよったのや。

前のほうゆわいでも、相手が頭の中で勝手に補完しよるやろと。

さらにあんた、『イレブンスター』ちゅうて、ちゃう名前ゆうても、勝手に『セブンスター』に補正しよるやろとかね。

ケッタイなこと考えよるやろ。

ほんで実行に移し、まんまと成功させよったワケや。

あんましおっけ声でハキハキゆうたらあきまへんのや。わりかた小さな声でボソボソとゆうのがミソなんですわ。

最初は急いでるふりしてあっちゃ向いてて、『ンスター』ちゅうときだけ顔を正面に向けたりするちゅうテクニックを弄したりナ。

また、「相手はお年寄りのほうが成功率が高いちゃんちゃこや」ちゅうてはりましたデ。

M君の野望はさらにエスカレートしましてな。

「オレサマのテクニックをもってすれば、ただの『ター』でセブンスターが出てくるはずや」

どっか飛んでいくつもりかおい。え?

で、ほんまに試してみたそうです。

けども、さすがに『ター』ではあかんかったみたいでっせ。

あたりまえやがそんなん。

そんなこと考えとうまあに、勉学にいそしめちゅやっちゃ。

もう遅いけど。