テニスコートが妙に騒がしかった。
ただの体育の授業で、なぜこんなにも騒がしくなれるのか、不思議でならない。
いくらなんでも、騒ぎ過ぎだろう……
授業中なのだし、担当の体育教師がいるはずだし、大したことはないだろうけれど。
それでも気になって、少しばかり覗いてみる。
このクラスは……
ああ、3年生か。
A組とB組。
確かこのクラスには男子テニス部のレギュラーが4人。
B組の仁王なんかはたまにサボりにくるし、丸井も擦り傷を作ってはよくくるな。
逆にA組の真田も柳生も真面目な生徒だし。
まあ…真田はもう少し中学生らしくしてもいいと思うがね。
「やあ、随分と盛り上がっているね。体育の授業中じゃないのかい?」
「あ、先生!ちょうどいいとこ!テニス部のレギュラー対決やってるんですよ」
その辺にいた生徒に声を掛けてみる。
少しばかり興奮気味の男子生徒が答えてくれる。
ああなるほど。
彼らのゲームならさぞ見応えもあるだろう。
それにこの組み合わせは……
「面白い組み合わせだね。ちょっと見ていこうかな」
ネットを挟んで立つ4人。
ダブルス。
真田と柳生。
仁王と丸井。
確か、柳生と仁王はペアを組んでいたんじゃなかったかな。
「アレ、本当は柳生の得意技のレーザービームなんですよ」
隣にいたテニス部の生徒が教えてくれる。
なるほど、仁王…ね。
目で追うのもなかなか難しいほどの速いショット。
二人が隙を狙っては打ち合っているな。
それにしても、少しばかり真田と柳生の動きがぎこちないような気がするな。
そういえば真田のダブルスとは聞いたことがないし……
やはり彼らほどのプレイヤーでも難しいものなのかな。
ポイントの合間に真田が柳生にアドバイスをしてもらっているくらいだしな。
仁王と丸井のペアはどうやら順調みたいだ。
「おや、あれはすごいね。丸井はアレが得意なのかい?」
丸井の打ったボールがネットの上を転がる。
丸井は得意そうに「天才的ぃ~」なんて言っているしね。
「綱渡りって技です。なんていっても丸井はボレーの天才ですしね」
なるほどなるほど。
上手いもんだ。
「……アレは真田の口癖なのかい?」
どうにも中学生が使うような言葉じゃないと思うがね。
「生微温いわ」とか「たわけが」とか「たるんどるわ」とか……
今時、爺さんでも使わなさそうな言葉を。
本当に中学生なのかね。
テニス部の彼は苦笑しかできないじゃないか。
困ったもんだね。
「真田は随分とパワーがあるようだね」
「そうですね。真田と幸村のパワーは半端ないですよ」
「あの幸村もかい?」
意外だな。
あんなに華奢に見えるのに、そんなにパワーがあるなんてな。
驚きだよ。
「真田のあのグランドスマッシュを何でもないかのように返しますからね…幸村は」
えっと……
さっき、丸井のラケットも仁王のラケットも弾いたんじゃなかったかな?
それを?
はあ……
人は見掛けによらないっていうのは本当なんだね。
しかししかし。
テニスとはなかなか面白いもんだ。
ぜひまたゆっくり観戦したいものだね。
もちろん他の部員たちの試合もね。
「あれ?先生、もう行くんですか?」
「ああ。保健室を開けたままだからね。いい加減戻らないと。ありがとう。楽しかったよ」
ヒラリと白衣をはためかせてコートを後にする。
うん。
なかなかに有意義な時間だった。
やはりテニス部の連中は面白いよ。







..



こんな視点もあり…かな。
何も知らない人間が見ても面白そうですよね。
まあいろいろと違った意味でもね(苦笑)

試合結果は御想像にお任せします(笑)





秋華