まだまだ残暑が残る中山競馬場で行われた第58回スプリンターズSは、9番人気のルガル(写真中央)が道中3番手から逃げるピューロマジックを捕らえ、最後は後続馬の強襲を退けて高松宮記念10着からの巻き返しで秋のスプリント王者に輝いた。
2着に5番人気のトウシンマカオ、3着に4番人気のナムラクレアが入り、連覇を狙った3番人気のママコチャは4着、1番人気のサトノレーヴは7着、春秋スプリント制覇がかかった2番人気のマッドクールは12着に敗れた。
ルガル騎乗の西村淳也騎手はデビュー7年目で悲願のG1初制覇で、菱田裕二(天皇賞(春):テーオーロイヤル)・津村明秀(ヴィクトリアマイル:テンハッピーローズ)・菅原明良(宝塚記念:ブローザホーン)に次いで今年4人目の初G1制覇で“G1ジョッキー”の仲間入りを果たした。
ケガを乗り越えて、4歳スプリンターの逆襲が始まった。
今年初戦のシルクロードSを快勝して1番人気で迎えた高松宮記念・・・
結果は10着とふがいない結果に終わり、その後骨折が判明された。
全治は6ヶ月と秋のスプリンターズSに間に合うかどうか分からない状況だったが、ルガルは必死にリハビリを頑張ってなんとか間に合わせた。
ただ高松宮記念から骨折休養明けで、初めての中山とあって人気は伸び悩み9番人気に。
スタートからピューロマジックが前半600mを32.1秒という驚異的な速さで飛ばすと、ルガルは道中3番手からレースを進めた。
最後の直線で逃げるピューロマジックを捕らえると、後ろからトウシンマカオや昨年の覇者・ママコチャ、大外からナムラクレアが一気に押し寄せてきた。
それでも管理する杉山晴紀調教師から「シルクロードSのようなレースを」と先行好位からの押し切りの注文を受け、西村騎手は見事にプラン通り実行させ、ルガルとともに人馬初G1のタイトルを掴んだ。
初めてのG1タイトルを掴んだ瞬間、デビュー7年目の西村騎手の目には涙がこぼれていた。
初めて重賞を制したのはデビュー4年目の21年、前年の“無敗三冠牝馬”デアリングタクトらを相手に最低人気のギベオンで勝った金鯱賞。
これを皮切りに昨年は自身最多の重賞4勝を挙げ、コンスタントに勝ち星を積み重ねていった。
G1では昨年の安田記念(ガイアフォース)とマイルCS(エルトンバローズ)で4着に入ったのが最高で、何か噛み合えば西村騎手もG1ジョッキーになれる雰囲気は漂っていた。
そんなビッグチャンスが巡ってきたのが今年の高松宮記念で、前走のシルクロードSで素晴らしい内容を見せたなら本番でもやってくれるというファンの信頼を受けて1番人気に支持された。
しかし結果は10着とふがいない結果に終わり、西村騎手は悔しい思いをした。
デビュー7年目の同期生は皆引退し、7年目ジョッキーは西村騎手のみとなったが西村騎手は「ここまで騎手生活して良かったです」と涙を拭った。
その後インタビュアーの質問に何度も何度も汗と涙を拭う西村騎手に「今、感謝したい人はいますか?」の質問に西村騎手は「母親ですかね」と。
西村騎手は兄で現在浜田多実雄厩舎の調教助手を担当している勇哉さんが騎手を目指していたことに憧れを持ち、兄が騎手になれなかったことに「ならば自分が!」と騎手を目指した。
女手ひとつで育てられ、影で応援してくれた母親にはすごく苦労をかけたがG1を勝てたことで最高の“親孝行”であり、最高の“恩返し”でもあった。
西村騎手は「G1勝ててない僕をG1ジョッキーにしてくれたことに感謝」と愛馬のルガルと管理する杉山調教師とそのスタッフたち、ルガルの関係者にも感謝した。
シュメール語で“王”の意味を持つルガルはまさにその名にふさわしい走りで再び信頼を取り戻した。
まずはルガルと西村淳也騎手、G1制覇おめでとうございます。
骨折からよくここまで立て直してと、努力が報われましたね。
元々スプリンターとしても堅実な走りを見せていたし、前走の高松宮記念で惨敗したのが「なんで?」って思った人も多かったでしょう。
自分としては完全に“盲点”でした・・・。
いろんな馬を調べながらもルガルは全く見てなかったから、これはもうどうしようもないです。
本命にしてたトウシンマカオは惜しい2着だったが、あれだけ速いペースで前目につけてルガルにあと一歩だったが菅原騎手はうまく乗ってくれた。
来年の高松宮記念でも楽しみにしたい。
そして菅原騎手には今週もお願いしますね。
3着のナムラクレアはやっぱり堅実に走ってくれますね。
初コンビだった横山武史騎手は浜中騎手のアドバイスも受けてうまく乗れたと思う。
まだまだやれることが証明できたので、来年こそは悲願達成してほしいですね。
サマースプリント王者のサトノレーヴはスタートがもうひとつだった。
スプリント戦はスタートが決まらなければ終わりと言ってもいいほどの“致命傷”になるので、そこを改善すればまだ巻き返しはあると思います。
あとこのために短期免許で来日したレーン騎手は短期期間満了のため、これで国内“見納め”です。
これからはミルコ・デムーロの弟のクリスチャン・デムーロらが来日予定ということで、秋のG1で短期免許で来た海外騎手はどの馬に乗るか楽しみです。
そして今週から東京・京都に舞台を移すということで、いよいよ「競馬BEAT」はカンテレにってことで・・・
ゆっかー(菅井友香)楽しみ!