06年ディープインパクトの“雨中の衝撃”から18年ぶりに京都競馬場で行われた第65回宝塚記念は、3番人気のブローザホーン(ピンク帽)が外ラチに近いところから一気に末脚を爆発させて、前走2着に泣いた春の天皇賞のリベンジを果たしてG1初制覇を飾った。
2着に7番人気のソールオリエンス、3着に5番人気のベラジオオペラが入り、1番人気のドウデュースは6着、2番人気のジャスティンパレスは10着に敗れた。
ブローザホーン騎乗の菅原明良騎手と管理する吉岡辰弥調教師はともにデビュー6年目にして初のG1制覇で、ブローザホーンの父であるエピファネイア産駒は今年G14勝目で21年(エフフォーリア:皐月賞・天皇賞(秋)・有馬記念、サークルオブライフ:阪神JF)に並び最多タイ記録となった。
また、菅原騎手は2001年(3月)生まれで21世紀に生まれた騎手のG1制覇はこれが初めてとなった。
雨を味方にして、充実一途をたどる5歳馬が得意舞台で花開いた。
今年の日経新春杯で重賞初制覇し、今年3月に美浦の中野栄治調教師が定年引退し、栗東の吉岡辰弥厩舎に移した。
美浦から栗東へと環境が変わった中でも吉岡調教師は「手のかからない馬」と絶賛した。
転厩初戦の阪神大賞典と前走の春の天皇賞は長距離実績のあるテーオーロイヤルに歯が立たなかったが、吉岡調教師は「どこかでタイトル獲れるのでは」と手応えを感じた。
前日に降った雨の影響で重馬場となり、こうなるとブローザホーンにとってはG1獲れる最大のチャンス・・・
逃げ馬不在の中、ルージュエヴァイユが向こう正面で先頭に立ってレースを引っ張ると、ほとんどの人気馬は後ろからの競馬になり、ブローザホーンはドウデュースとともに後方からの競馬に。
スタートしてから止んでた雨が3〜4コーナー回った時に突然強く降りだし、ほとんどが馬場の外に進路を取った。
ブローザホーンは外ラチに近い大外に回り、そこから重馬場にしては驚異の上がり34秒ジャストの末脚で一気に抜け出し、“道悪巧者”の実力を見せつけた。
プラダリア騎乗の池添謙一騎手やヒートオンビート騎乗の坂井瑠星騎手と握手をかわす菅原明良騎手にとっては嬉しいG1初制覇となり、満面の笑みで喜びを爆発させてファンに向かって何度もガッツポーズを見せた。
団野大成・岩田望来・斎藤新らと同期の6年目の23歳。
一昨年のNHKマイルCで18頭立ての最低人気のカワキタレブリーに騎乗して3着と大健闘したレースが一番印象的で、「勝ちが見えた」と一瞬夢を見た菅原騎手。
昨年のホープフルSで13番人気のサンライズジパングを3着に、今年の大阪杯でも11番人気のルージュエヴァイユを3着に持ってこさせた実績があり、どこかでG1獲れるという実力を持っていた。
そんな中、自分の年齢と同じ23回目のG1挑戦で初のG1タイトルを掴んだ菅原騎手は「めちゃくちゃ嬉しいです。今年中にG1勝ちたい気持ちが強かったですし、勝ててホッとしてます」と汗が滴り落ちる中で白い歯をこぼした。
G1ジョッキーの仲間入りを果たした菅原騎手は「まだまだ学ばないといけないことは多いですし、この馬と一緒に成長できたらいいなと思います」とこれからもっともっと活躍できるよう気を引き締めた。
急成長を遂げる人馬は「充実な2024年だった」と言えるよう、さらなる高みを目指す。
“道悪巧者”の実力が発揮された今年の宝塚記念。
G1を勝ってくれたことは嬉しかったが、正直言えば「やっぱりこっちにすれば良かった・・・」と後悔してます。
でも強気に攻める勇気が出なかった自分が悪いので、仕方ないです。
ブローザホーンは今回「条件が良かったから勝てた」だけで終わってほしくないです！
今の感じなら“グランプリ連覇”もあり得るかと。
秋を楽しみにしたいと思います。
2着のソールオリエンスは昨年の皐月賞を彷彿させるような走りだった。
皐月賞勝って以降は負け続きだが、これをきっかけにどこかで復活の勝利を挙げたらソールオリエンスのファンは泣くだろうな。
ファン投票1位のドウデュースはまさかの6着・・・。
やっぱり重馬場が堪えてしまったのだろうか？
それでも上がり34秒6はブローザホーン・ソールオリエンスの34秒ジャストに次ぐ2位のタイムなので、悪くはないと思う。
この結果に凱旋門賞の参戦に“黄信号”がともったが、個人的な意見としてはやっぱり参戦してほしいです。
「こんな結果なのに勝てるわけがない！」「出ない方がいい」と言われるのは分かっているが、やってみないと分からないですし、何かアクシデントがない限り“やらずに後悔”はしてほしくないです。
そのあたりはもうオーナーと友道調教師しっかり相談して決めてほしいです。