夏の日差しを浴びて7万超の大歓声を浴びた東京競馬場で行われた第91回日本ダービーは、9番人気のダノンデサイルが直線で最内を突いて脚を伸ばし、最後は二冠制覇を狙った1番人気のジャスティンミラノに2馬身差をつけて、皐月賞除外の無念を晴らすダービー制覇となった。
2着にジャスティンミラノ、3着に7番人気のシンエンペラーが入り、17年ぶりの牝馬制覇を狙った2番人気のレガレイラは5着、3番人気のシックスペンスは9着に敗れた。
ダノンデサイル騎乗の横山典弘騎手は17年NHKマイルC(アエロリット)以来7年ぶりの中央G1制覇(←地方を含めると18年JBCレディスクラシック(アンジュデジール)以来5年半ぶり。)で、ダービー制覇は14年ワンアンドオンリー以来10年ぶり3回目で、56歳3ヶ月4日はダービー及びJRAG1史上“最年長勝利”となった。
また、管理する安田翔伍調教師は開業7年目で初の中央G1制覇(←地方を含めるとオメガパフュームで地方G1を5勝した。)で、41歳10ヶ月19日は11年の覇者・オルフェーヴルを管理していた池江泰寿調教師の42歳4ヶ月17日を約半年更新する“最年少ダービートレーナー”となった。
腕に磨きのかかった56歳が最高の舞台で“円熟の技”を見せつけた。
皐月賞はスタート直前で歩様の乱れに気づき“競走除外”と残念なクラシック第一冠となった。
診断の結果は“右前肢ハ行”と幸いにも軽かったが、ダービーまでの過程はそんなにうまくいかず、管理する安田翔伍調教師も「他の馬を見る余裕もなく、(ダノンデサイルの)走りのバランスが崩れてないか心配でした」と大変さを物語った。
なんとか無事に間に合ったが、レース自体は京成杯(1着)以来で人気も上がらなかった。
しかもレースの展開を握るメイショウタバルが“出走取消”と全く展開が読めなくなった。
しかしここからが“円熟の技”の見せ所で、横山(典)騎手は「スタートが決まれば行っていいかな」とスタートが決まって手綱を押した。
すると岩田康誠騎手騎乗のエコロヴァルツがハナを主張してきて、ハナを譲る形で先行集団の中からレースを進めた。
1000m通過が62.2秒の超スローな流れで我慢ならなかったのか、サンライズアースとコスモキュランダが一気に捲るように上がってもダノンデサイルは内々でじっと我慢していた。
最後の直線を迎えると、ダノンデサイルの横山(典)騎手は一頭分のスペースを突いて最内から脚を伸ばした。
後ろには皐月賞馬のジャスティンミラノやサンライズアース、さらにはシンエンペラー・レガレイラも襲いかかる・・・
それでも経済コースを通ったダノンデサイルにはまだ余裕があり、終わってみればジャスティンミラノに2馬身差をつける快勝で第91代のダービー馬となった。
レース後、横山(典)騎手はアーバンシックに騎乗した息子の横山武史騎手とハイタッチをかわし、スタンドの大歓声を浴びた後の地下馬道では前日葵Sで同じ安田翔伍厩舎の管理馬・ピューロマジックで勝利した横山和生騎手が勝ち戻る父と安田調教師らを出迎えた。
皐月賞はスタート直前でアクシデントが発生して無念の“競走除外”となったが、それを判断した横山(典)騎手は「あの決断は間違ってはなかったのかなと、ああいうことがあっても馬は大事にしていれば応えてくれるというのは、馬には感謝です」と淡々とした表情で語った。
中央G1制覇は実に7年ぶり、それも56歳と“最年長勝利”を更新した横山(典)騎手は「G1で騎乗するのもなかなか大変で、まさか勝てるとはね・・・馬に真摯に向き合ったことが結果に結び付いたので、この上ない喜びです」と語った。
そして今回は翔伍調教師の父で今年3月に調教師を引退した安田隆行元調教師も駆けつけ、見事結果を残したことについては「安田先生(隆行元調教師)と(翔伍調教師の)家族が来てるのを聞いてたので、翔伍のいい晴れ舞台を見せられてホッとしてます」と笑みがこぼれた。
91年、トウカイテイオーで父の晴れ姿を当時8歳で見てた安田翔伍調教師は父とダービーの舞台は“憧れ”だった。
あれから33年の時を経て、苦難を乗り越えた先に見えたのは“ダービー制覇”という最高の栄誉が待っていた。
“逃げ馬不在”と展開がどうなるか分からなかった中で、こういう時こそベテランの“感性”と“腕”が光るものだと改めて分かった今年のダービー。
終始最内をキープして走らせたノリさんの判断はホントに見事だった!
今年のノリさんは調子いいですね。
中山記念でマテンロウスカイには大変お世話になったが、今回は入れてなくてすいませんでした。
2着に入ったジャスティンミラノは“皐月賞馬”として最低限の仕事はできたかなと。
勝てなかったのは残念だったが、安定した走りは秋以降も期待していいかと思います。
本命のシックスペンスはちょっと力んでいた感じ があった。
スプリングS以来2ヶ月ぶりで聞いたことのない大歓声に緊張してしまったかもしれないですね・・・。
秋までに気性面が成長してくれたらまだまだやれると思うので、長い目で見てみたい。