冬の大寒波に凍える中山競馬場で行われた第66回有馬記念は、1番人気のファン投票1位のエフフォーリア(黄帽)が5番人気のディープボンドとの競り合いを制し、G13勝目を挙げた。
2着にディープボンド、3着に2番人気のこれが“ラストラン”のクロノジェネシスが入り、3番人気のステラヴェローチェは4着、ファン投票3位のタイトルホルダーは5着に敗れた。
エフフォーリア騎乗の横山武史騎手は今年の天皇賞(秋)(エフフォーリア)以来のG1勝利で、96年サクラローレルで制した父・典弘とともにこのレース“親子制覇”となった。
進化続ける3歳総大将が“現役最強”の称号を手にした。
秋の天皇賞でコントレイル・グランアレグリアを破って3歳世代の強さを見せつけ、上記2頭は見事ラストランで勝利して、そのおかげでエフフォーリアの評価は上がりファン投票は“歴代最多”の26万超えの堂々の1位を獲得した。
クロノジェネシス・ディープボンドの世界で戦った先輩馬や同世代のタイトルホルダー・ステラヴェローチェ、これが“ラストラン”のキセキなど実力馬が揃った中でもエフフォーリアは前走見せた強さを堂々と発揮して、完全なる“世代交代”を告げた。
勝った後、武史騎手はファンに深々とお辞儀した。
応援してくれたファンに感謝の他にもうひとつ理由があった。
前日、エフフォーリアの半弟・ヴァンガーズハートに騎乗してゴール前で手綱を追う動作を緩んでしまい、これが“不注意騎乗”とみなされ来月15・16日の2日間“騎乗停止”の処分を下された。
同じような過ちを犯さないために、先に抜け出してディープボンドが差を詰めてきても必死に手綱を押して、決して諦めることはなかった。
勝ったとは言え、武史騎手はとにかく前日のことが申し訳なく、「心の底から喜べないのがとても残念です」とインタビューでも終始笑顔はなかった。
それでも武史騎手にとって初めてのG1勝利をプレゼントしたのがエフフォーリアで、G13勝(菊花賞のタイトルホルダーを含めて4勝)挙げて何度も助けられた。
一方でダービーを獲れなかった悔しさも味わい、その悔しさが武史騎手に管理する鹿戸調教師を奮わせた。
「“騎手”としてまだまだ未熟」と武史騎手は言うが、今月22日に23歳を迎えた若武者はまたひとつ成長し、最後は「すいませんでした」と改めて前日のミスを謝罪してインタビューを締めた。
成長続ける人馬は、2022年の“主役”へと駆け上がる。
エフフォーリアの強さを改めて実感した今回の有馬記念でしたが、今回のレースが“ラストラン”のクロノジェネシスは3着でグランプリ4連覇はならなかった。
クロノジェネシス主戦の北村友一騎手(写真右、左は管理する斉藤崇史調教師)が中山競馬場でパートナーの最後の雄姿を見届けた。
結果は残念だったが、北村騎手は「ここまでよく頑張ってくれました。いろんな経験をさせてくれて感謝しかないです。」と愛馬を労った。
同世代のグランアレグリアとともに別路線で競馬界をにぎわせたクロノジェネシス。
叶わなかった“夢”は次の世代につなげてほしいです。
そして“本命”にしていたタイトルホルダーはパンサラッサの逃げに2番手からの追走と予定通りの競馬ができ、最後は目標とされ苦しくなったが5着に踏ん張ってよく頑張った。
武史騎手の兄・和生騎手も「リズム良くレースができた」と振り返り、大外枠のハンデがありながらもこれだけやれたなら十分満足です。
来年春の天皇賞が楽しみになってきたので、今後も期待したい。
さて、有馬記念が終わっても競馬は明日が本当の“ラスト”です!
明日は来年のクラシックにつながるホープフルSがあります。
注目はなんと言っても武豊騎手の“G1完全制覇”なるかです。
朝日杯FSを22回目の挑戦でようやく勝って、あと残るはホープフルSのみです。
豊さんが乗るのは4戦1勝ながら2着3回の連対100%のアスクワイルドモアです。
前走札幌2歳Sは2着だったが、堅実に走るのが持ち味。
大外15番枠に入ったが、枠うんぬんより豊さんの“G1完全制覇”を見たい人がたくさんいるはず!
本命はコマンドラインですが、“心の中の本命”で豊さんのアスクワイルドモアを応援したいと思います。