2023年3月1日

退院カンファレンス

 

まだ介護認定はおりていない

ケアマネージャが介護認定に先立って動いて

病院とのやり取りや自宅介護の

手配をしてくれていた

 

ケアマネージャが手配した訪問看護師も

退院カンファレンスに参加してくださる事に

初めてお会いして挨拶を交わした

 

私はカンファレンスがどんなものか?

どれくらいの人数なのか?

全く分かっていないまま

時間に病院へ行けばいい程度の解釈

だったと思う

 

会議室に入って驚いた

参加者は担当医・病棟看護師・

外来看護師・退院調整看護師・

薬剤師・管理栄養士・

ケアマネージャー・訪問看護師

こんなに沢山の人がパパの為に

集ってくれていた

 

カンファレンスが始まり

参加者全員の自己紹介の時間

看護師からパパのADLについて

 

    

ADLとは『日常生活動作』

 

日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作で「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」動作の事

 

自分の事が自分でどれくらいできるか?

という事が説明された

パパはどれも自分では出来なくなっている

 

話し合いの中では専門用語も多く

必死にメモをしながら

注意深く話を聞こうと思った

 

担当医からの病状の説明

「○○さん余命6カ月との診断です

 皆さんでサポートをお願いします」

 

それぞれの立場からの意見が交わされる

経鼻経管で入れる水分量

2週間に一度通院すること…

 

私は抗がん剤も通院して一日で終わると

思っていたから話の内容に少し戸惑った

 

2週間に一度、ケモセンターに通院して

アバスチンの投与(点滴)を受け

その時に抗がん剤が処方される

自宅で抗がん剤を5日間経鼻経管から

投与して飲む

 

    

ケモセンターとは『外来化学療法室』

 

化学療法を外来で受ける為の部署

 

 

「抗がん剤、自宅で飲む…」

という事で通院後は必ず5日間は

自宅に連れて帰る事が決まったと思った

緩和ケア病院では抗がん剤は

飲ませて貰えない

 

でも最初から自宅で看る予定だったから

頑張ろう!と思った

 

通院はどのようにすればいいのか…

外来看護師がケモセンターに確認の連絡

 

電話を切った看護師の言葉に全員が驚く

「ケモセンターが寝たきりの人は

 受け入れられないと言っています」

どうやら自力で車椅子等を使って通院できる方

までしか対応は難しいとの事のようだった

 

外来看護師が

「寝たきりの方が通院によってアバスチンの

 投与する事は前例があまりないので…」

と言って全体での話は中断し担当医に

意見を求めると…

 

「じゃぁ入院で対応しよう」と

担当医がすぐに回答した

2週間毎に入院する事が決まる

 

どんな事をしても

アバスチンと抗がん剤を続けさせたい

そう思っていた私は

外来での通院を断られた時には

絶望的な気持ちだった

 

でも…

担当医は即答で入院で対応と答えた

 

私は緩和ケア病院の面談時に院長に

言われた事を思い出していた

 

経口で薬が飲めなくなると

抗がん剤を中止する医師もけっこういる

経鼻経管から抗がん剤を投与すると聞いて

驚いたと言っていた

 

医師への感謝で胸がいっぱいだった

 

カンファレンスは終了して

ケアマネージャから行政への連絡先を渡され

介護認定の確認をしたところ

要介護5の認定がおりていた

 

ここから少しだけ

私の後悔の話をさせてくだい

 

パパが亡くなってから

治療の事や

あの時こうしていれば

ああしていればと

後悔する事がいっぱいあって

 

でもこの時の後悔は

少し種類が違う形で心に残って

何度も思い出してしまう

 

待合室に戻ると

ケアマネージャと訪問看護師

そして病院のある看護師の方が

パパを囲んで話していた

 

パパは車椅子に乗って

少しウトウトした状態だった

 

そのある看護師が

「やわらかいわぁ

 私この触り心地大好き」と

何度もパパのお腹をつついて

ニコニコしながら揺らしていた

 

ケアマネージャと訪問看護師は

苦笑いしながらその看護師を見ていた

 

私は一瞬止まって…

カーッと込み上げる思いを堪えた

 

病院の対応や治療に対して

何よりも担当医に感謝してもしきれない

そしてこれからもお世話になる

横で苦笑いしている

ケアマネージャも訪問看護師も

これからお世話になる

 

色々考えて…

看護師の個人的な部分の問題だ

いま波風をたててはいけない

これからお世話になるのだからと

 

何も言えなかった…

パパの尊厳を守れなかった

 

この出来事を何度も思い出しては

なぜあの時ちゃんと怒らなかったのかと

後悔している