一日中一緒にいて、笑っていられるレベルなんかではないことが、よくわかった。


日中は、いつものようににこやかで明るい表情だった姉は、夜になると別人だった、


日中は、姉も頑張っていたのかもしれない。自宅とは違う、妹の家に来て、実は不安でならなかったのかもしれない、みるくかだと思って、みるちゃん!と声を掛ければもかっちで。知らない風呂場へ連れて来られ、どうしたらよいかわからなかったのかもしれない。

時間が長いので何度も声を掛けたが、だいじか!と返事をしつつ、不安だったのかもしれない。結局、何度目かの声掛けの時には、来てきた服を全部手洗いして、風呂場に畳んで重ねてあった。

着替えは分かる場所に置いたけれどそのままにしてあり、よく見れば私の下着を着ている。脱衣所の引き出しから取り出したらしい。


何より、もうイヤだ、と不機嫌に繰り返す姿は、生まれて初めて見る顔で、初めて聴く声だった。まるで別人、全く知らない姉だった。


結局、出して置いたパジャマを着て居間にやって来た姉は、バッグから、持って来た服を出して着替え、今はそのまま眠っている。


わからないこと尽くめだけれど、不安な気持ちを我慢して、頑張っているんだろうな。明るい認知症患者を、きっと演じているのだろう。実は不安と、分からない事に押しつぶされそうな心を仕舞い込んで、頑張って笑っているのだろう。


そんな姉の傍で、戸惑いながらリードしている義兄のストレスも、きっと相当なもので。


神様はどうして私達に、こんな辛い時間を用意するのでしょう?

火災となり、父が破産して、母は認知症になり、一息つけば、今度は姉。そんなストレスをひとりで抱えてきたのかもしれない、姉は。