何年ぶりだろうか、姉の家を訪ねた。
玄関ドアを開けた姉は、
「会いたかったよぉ」
と、顔をくしゃっと崩して泣いた。
義兄もやって来て、3人で居間で話した。
姉のいない間に、
「この前は最初、誰かわからなくてね。
分かってからも、受け入れるのに、時間が掛かって…」
と、早朝に姉が訪ねて来た日の、私のことを話した。義兄は黙って聴いていた。
義兄は自分にも他人にも厳しい人で、頼れる兄貴でもあり、怖い存在でもある。
それから義兄は、今の姉の様子、状態を教えてくれた。姉は、会話は全く問題なく、いろんな気遣いをする、優しく、お茶目な性格はそのまま。でも、たとえば洗濯物を干している途中でふらっと出て行ってしまったり、夜通し歩いて、子供の頃に暮らした場所へ行こうとしたり…警察と消防には、もう何回もお世話になっていると、義兄は苦笑した。
「ねぇ、美容院行ってる?」
ショートが好きだった姉の髪が肩より下まで伸びていて、白髪でグレーになっているのを見て先ずは気になり、訊いてみた。
姉は間髪入れずに、
「そうなんだよね、行きたいんだけど…」
言葉を飲み込んだ。
義兄も何か言いたげだった。
前回から気になっていたが、やはり、義兄もこればかりはどうしたものかと気にしていたらしい。
「私がいつも行く美容院、ちょっと訊いてみるね。一緒に行けば大丈夫だと思うから。
ショートカットがいいの?」
姉は目を輝かせて、明日にでも行きたいような口ぶりだったので、予約しないといけないからさ、ちょっと待っててね、と。
良かった…きれいでいたい、そんな気持ちはまだまだ健在だった。それが何より、嬉しかった。気にしていてくれた義兄にも、感謝だ。
2時間程、これからの事を相談したり、おしゃべりをして、帰途についた。
みんなで旅行に行きたいね!
なんて、ひとりで気まま旅も好きな私と違い、いつもみんなで…と考える、優しいお姉ちゃんらしい言葉を反芻すると涙が溢れた。
どうぞ今の状態が続きますように。
今のうちにたくさん話して、笑って、一緒に過ごそうね、と涙を拭った。
帰宅すると、やっと繋がった義兄のLINEに、
姉をみてくれてありがとうございます。
これからは、出来る限り、私も寄り添います。
と送った。
美容院へ行ったら、ふたりで撮影、
一緒に若返りのジブリ風に編集しよう❣️
