それは、蒸し暑い6月の放課後。

当時、高1だった私は、いつものように合唱部の練習に参加するため、3階の音楽室へと急いでいた。女子ばかりの合唱部…世間で言われるような女同士の陰湿ないじめだとか、女のプライドをかけた闘いだとか、そんなものとは全く無縁の、あっけらかんとした明るく賑やかな高校生の集団だったが、さすがに1年生が練習に遅れていくのはちょっと気まずい。その日は、生徒会の仕事で遅くなり、廊下は小走りに、階段も駆け上って来たものの、開け放った音楽室の窓からはもう、発声練習のコンコーネを歌う声が聞こえていた。私は部室に荷物を投げるように置くと、隣の音楽室へと急いだ。

 

廊下には、裏の体育館から聞こえる運動部の子たちの元気な声が響いていた。その声に背を向け、そうっと音楽室の扉を開けると、聞こえてきたのは、聞き覚えのないピアノ曲。両手で奏でる和音がキラキラと煌く星たちのよう…。音の一つ一つも、優しく澄んだ音色だった。

ピアノを弾いているのは見知らぬ生徒、ショートカットの髪はくるくるの巻き毛で、大きな瞳が印象的だった。最後の和音が鳴ると全員が拍手、そのショートカットの演奏者は立ち上がると、恥ずかしそうに頭を下げた。

 

彼女は、「ミッシェル」と呼ばれていた。なぜ、ミッシェルなのかはわからない。ビートルズの曲のタイトルからなのか、ミッシェル・ポルナレフが好きだとか、苗字が「三代」ミシロさんだとか、いろいろと思い巡らせてはみたけれど、結局先輩には訊けなかった。いまだに謎のままだ。

そして、そのくるくるの髪をした一つ違いの上級生は、少年のような顔で笑う女の子だった。

 

彼女が弾いていたのは、何のことはない、最近練習を始めた合唱曲の伴奏、ミッシェルさんには、その曲の伴奏者をお願いしていたのだった。彼女も高校入学と同時に合唱部へ入部したが、音大進学を決め部活は断念した。ピアノの練習時間が確保できないというのが理由だ。

「お母さん、いいって?」

3年生が心配そうに声を掛けた。

「これ1曲だからって約束で!」

久しぶりの仲間に上級生たちは嬉しそうだったが、誰よりも、ミッシェルさんが一番嬉しそうに笑った。

 

ミッシェルさんは、本当にこの一曲の伴奏のみで、演奏会が終ると、二度と放課後の音楽室に現れることはなかった。時々廊下ですれ違う彼女は、相変わらずのくるくる巻き毛のショートカットでいたずらっぽく笑った。

その後、彼女が希望の音大に進んだことは言うまでもない。(再掲)

 


昨日はここあの日でした。



元気で、ちょっと気難しくて、


みんな一度や二度、指を噛まれたことがあり(苦笑)、


でも、ワンコ同士では喧嘩もなく、もちろん、噛むなんてことはせず…


もかっちを弟のように面倒みてくれる兄貴で、


とっても賢くて、


一度は庭から抜け出して、


保健所のお世話になったこともありましたが…


迎えに行くと、お利口にちょこんと、大きな檻の中に座っていました…


最近元気がないな?と思っていた、ある夜、


静かに旅立って行きました…


さよならも言わせてくれすに…


でもきっと、仲良しだった、みるくともかっちには、


短めの挨拶を、サラッと伝えた事でしょう、彼らしく…


かわいいここあ、

いつでも帰っておいで🩷