勤務先は障がいを持つ方対象のグループホーム。私の担当するホームには、Aさんという60代後半の知的障がいの男性がいます。知的レベルは小学校低学年くらい、毎朝計測する血圧の数値を読み上げるのには数秒かかります。


私達世話人の勤務は朝8時までなのですが、私が朝ドラを観ていることをご存知で、8時になるとNHKに変えてくださいます。それまでは、めざましテレビを観ながらじゃんけんに本気で一喜一憂されています(笑)。


朝ドラは今、やっと戦争は終わりましたが、登場人物が次々と命を落としました。

いつもテレビを観ながら、気に入らない人には「あっかんべー!」なんてしているAさんですが、「死んじゃったの?」と目からポロポロと涙をこぼされて…。

「やだね、戦争なんてダメだよね」と私が声を掛けると、ウンウンと頷き乍ら涙を拭っていました…。


いつもは私を揶揄っては喜んでいる悪ガキ風のおじいちゃんなのですが、こんな時はバカとかグズとか、知っている限りの悪い言葉をテレビに向けて発します。

幼い頃からずっと、こんな嫌な言葉を浴びせられて来たのだろうな…と私は、その様子に胸が痛むのです。


でも、Aさんはとても優しい。

私が困っているとすぐに声を掛けてくださり、失敗すれば「いいだ、いいだ」とにこにこ笑ってくださり。

Aさんご自身が困っている時に、こうすればいいよ、なんて私が手伝うと、「ありがとう」とにこにこしながら大きな声で言ってくださり。

失礼な表現かもしれないけれど、私はそんなAさんがとても可愛い、と思うのです。

そして、Aさんの部屋の机にはお母様の写真があるのですが、きっと厳しいけれど愛情たっぷりの、お優しい方だったのだろうな、とお顔を見つめてしまったり…。


子育てはやり直しが効かない。息子達にもこんな、Aさんのような優しいおじさんになって欲しいと願うのは今更だけれど。

鬼婆の知らないところで、そんな人であってくれたらいいな、と七夕の短冊に書いておこうかな…。


こちらもそろそろ紫陽花の季節、