月末はいつも通り慌ただしく過ぎ、約束の金曜日はすぐにやって来た。以前、伝説の部内旅行の武勇伝を聞いて面白そうな人だと興味を持っていたAだか、同じ所属のユミに言わせると、「夕方5時までは部内で一番仕事が出来て気遣いの出来る人」だが、「伝説は否定しない」そうだ。怖いもの見たさというのか…私はその日を心待ちにしていた。
leftyは、すぐに見つけられた。以前から何度も覗いたことのあるかわいい小物を扱う店の並ぶ狭いその通りは何十回と歩いている筈で、レフティに今まで気付かなかったことの方が不思議なくらいだった。
いつ頃の建物だろうか、少し汚れたすりガラスが古さを感じさせるが、それがまた落ち着いた雰囲気を醸していた。
アンティーク調のチャイムを揺らしてドアを開け、店内を見回すと窓際の席でAが手を振った。私はちょこんと頭を下げた。