サンタクロースは本当にいるの?
少女が新聞社に手紙を出したという有名な話もありますが、今の日本にあっても、きっとどの子も一度は抱く疑問ですよね。
それはある年の、夕食を囲むクリスマスイブ。
長男が、
「明日は休みだから、今夜はずっと起きていてもいいよね」
と言い出した。
「いいけど…どうして?」
「サンタを捕まえてやるんだ!」
おそらくは長男もいよいよサンタクロースの存在に疑問を抱き、でも信じたい気持ちもあっての言葉なのだろうけれど…いや、これは「さあ!プレゼントはどうする?」という親への挑戦状なのか…いろんなことを考えつつ、でも、面白そうなのでちょっと話しに乗ってみた。
「どうやって捕まえるの?」
「寝たふりしてベッドに横になっていて、入って来たところを、こう、ガバッと捕まえるんだよ。きっとベランダ側の戸を開けて入って来るだろうから、同時に戸もすぐに閉めるんだ。そうすれば、サンタが逃げようとしてもしっぽぐらいは捕まえられるでしょ?」
長男は目を輝かせながら得意満面で説明した。
我が家に来るサンタクロースは、毎年、子どもたちの枕元にプレゼントを置いていく。
だから、サンタクロースは、寝ている枕元にやって来るはずだと…。
サンタクロースにしっぽなんてあったっけ?と思いつつ、寝たふりをするのならばそのうちにそのまま眠ってしまうだろうなと、ささやかなご馳走を食べながら、私は長男の作戦を聞いていた。
早く寝てくれないと、私の任務を果たせない!
翌日はお休みとはいえ睡眠不足は辛いので、いつもの時間には子どもたちは二人とも布団に入らせた。
「起きているとサンタさん、来ないからね
目を開けていてもいいから早くお布団かけて横にならないと、捕まえられないよ」
ところが。
子ども部屋も静かになり、片付け物も済ませ、そろそろ任務を遂行しようかという頃、リビングのドアが開き、長男がしおしおと入ってきた。日付が変わろうかという時刻だった。
「お腹が痛い」
そう言うと、長男はヒーターの前に座った。
「寒かったのかな?」
痛みはそれほどでもないようだったので、ホットカーペットの電源を再度入れ、ハーフケットを掛けて横にならせた。
そして暫く様子を見たが大丈夫そうなので、それならば自分の布団で寝なさいと声を掛けた。
「お母さんも今日はもう寝るね」
リビングの電気を消し、二人で二階へと上がった。
30分ほど経ち様子を見に行ってみると、長男は寝息を立てていた。耳元で「○○!」と、ごくごく小さな声で呼んでみたが反応はなかった。
「よし!」
私は隠してあったクリスマスプレゼントを取り出し、その年はリビングのツリーの下に置いた。
そして、クリスマスの朝を迎えた。
「やっほーい!!」
いつも元気な次男は、早朝からプレゼントの包みを見つけて大騒ぎだった。
ダダダダという階段を上る足音を響かせて、まだ布団の中にいる私にプレゼントを見せに来た。
「良かったね~!サンタさん、何をプレゼントしてくれたの?
お母さんにも貸してよね~」
その騒ぎに、長男も起きてきた。
「おはよう!」
「おはよう…」当然眠そうな目をしていた。
しかし、次男に教えられて階下へと急ぎ、ツリーの下のプレゼントを見つけると、俄然表情は元気を取り戻した。
「お母さん、お母さん!
サンタクロースはやっぱりいるんだね。
だって、昨夜、お腹が痛くなってリビングに行った時には、プレゼントはなかったんだもの。
お母さんは僕と一緒に2階に上がって眠ったんだから、今朝、ツリーの下にプレゼントがあるってことは、やっぱりサンタさんはいるってことだよね!」
長男がとっても嬉しそうだったのは、願い通りのプレゼントだったからなのか、それとも、疑っていたサンタクロースの存在を確信できたからだったのか。
それにしても、前夜、ツリーの下を確認していたなんて、抜け目ないアイツらしいなと驚いた。腹痛はウソではなかったとは思うけれど。
私も二人の満面の笑みというサンタさんからの何よりのプレゼントを頂いたクリスマスの朝でした。