白いものが目立つようになった髪に手をやりながら

あなたは突然声を震わせた

 

もっとしてあげられることがあったはず

自分のいのちが秋までだなんて

おばあちゃん思っていなかったはず

そう思うと

申し訳なくて

かわいそうで

 

しぼり出すようにそう話すと

あなたのちいさな丸顔がゆがんだ

 

一日一日と

さびしさは深まってゆくの

しばらくすれば

気持は戻るかと思っていたけれど

じつは

一日一日と

さびしさはつのってゆくのよ

 

いつも冷静なあなたの目から

ひと粒こぼれたかなしみ

 

そんな風に思ってくれる嫁でよかったって

おばあちゃん

きっと言っているよ

そんなに思ってくれてありがとうって

 

冬のやわらかな陽射しがやさしい午後

 

ああ、お抹茶がおいしいと

ちいさな丸顔をくしゃっと崩して

あなたは

泣きながらわらった

 

 

               

                   ~とっても素敵な人生の先輩に久しぶりに会った、

                               ある冬の午後の事のことでした