作品ピックアップ紹介 vol.1 「コートへのプロムナード」 | 画家l渡辺美香子の世界(色鉛筆&more)

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心穏やかな風景を描き続けて40年近く、
もっとワクワクすることもやってみたいな、
と色鉛筆画の可能性の探求から始まった新たな挑戦。
さらに画材の制限から自由になった先にあるものは・・・?
渡辺美香子の教室や個展のお知らせ&日常の気づきなどを
お届けします。

 

vol.1

[コートへのプロムナード]

 

渡辺美香子 ©Mikako Watanabe  2021  10P  色鉛筆画

この作品は「河内を描く美術展」という
2年に一度開催される展覧会に出すために描いた絵です。


タイトル通り、大阪の河内の風景がテーマの展覧会で、
これまで10数回出品しているのですが、
毎回、地元「寺ヶ池公園」周辺を題材に選んでいます。

私が寺ヶ池の風景に出会ったのは、かれこれ30年と少し前。
友達に乗せてもらった車で
偶然、初めて通りがかりました。

交差点に差し掛かると突然そこから
新緑が道路の両側に生い茂り、
キラキラと光る木漏れ日が
フロントグラスにきらめいたのを覚えています。

 



「あ、私、ここに住みたい」


後部座席でそんなことを思った数年後、
まさにその地にマンションが建つことになりました。

バブルはすでに弾けていたけれど、
信じられないほどの高倍率で2回落選、
最終回も17倍の難関の末、
補欠繰り上げ当選という奇跡的な運命で
この地に住むことになりました。

その後、30年に渡って住み続ける土地となるのですが・・・


話は変わって、数年前。
この一角を、遠くに住む知り合いが写真に収めてSNSに投稿していました。

特徴的な電話ボックスと椅子。

 

これは私(渡辺美香子)が撮った写真 2021

25年前、初めてこの道を通った時、
「ここに住みたい」と強烈な印象を受けた、あの風景です。

何とも複雑な気持ちに襲われました。

25年以上、絵の題材としてはスルーしていた自分。

私が私の画風で描く前に、
誰かが写実的に描いてしまったら・・・

そう思うと、居ても立っても居られなくなって
ここの風景を私なりにアレンジして描いたのでした。


この階段を上がるとテニスコートが4面。
まさにコートへのプロムナードではあるんですが
 



同時に私をこの地へと導いてくれた
プロムナードでもある場所。

タイトルはそのまま
「コートへのプロムナード」としました。

 

 

作品名 コートへのプロムナード

作者 渡辺美香子

原画サイズ 10P
画材 色鉛筆 
支持体 白い紙
制作年 2021

 

版画 あり 

版画サイズ 10P四つ 

河内長野市ふるさと納税返礼品

 

 

 

 

1996年の初個展以来、描いた作品は1300点以上。

作品画像は時に触れご覧いただいてきましたが、

作品の制作動機や秘話などはあまり語ることはありませんでした。

 

これから少しずつ、私自身の忘備録として

覚えているうちに

あるいは思い出しながら

順不同に

描き貯めていこうと思います。

 

お付き合いお楽しみいただけたら幸いです。