画材を変えて見えてきたこと | 画家l渡辺美香子の世界(色鉛筆&more)

画家l渡辺美香子の世界(色鉛筆&more)

心穏やかな風景を描き続けて40年近く、
もっとワクワクすることもやってみたいな、
と色鉛筆画の可能性の探求から始まった新たな挑戦。
さらに画材の制限から自由になった先にあるものは・・・?
渡辺美香子の教室や個展のお知らせ&日常の気づきなどを
お届けします。

おはようございます。
色鉛筆画家の渡辺美香子です。

今日は東京教室日。
早起きも無事できて、7:39発の新幹線にも
余裕で乗れました。
 

 

静岡はあいにくの曇り空。手前で垣間見えた遠くからの富士山

 

 

さて、長らく教室に通ってくださってる方から
最近チラホラ聞こえてくるのが

「細かいことが苦手で…」

という言葉。

「まっすぐきれいな線が引けない」

「細かいことができなくて
どうしても雑になる」

そこを克服したいと思って頑張ってるけど
どうも思ってるようにはならない…💦
(実際には充分描けてるんだけど、
自分に合格点を出せない性分の人が多く…)

で、それってまさに今までの私が
自分自身に言い続けてきた言葉。

そこを克服するべく作品を作り続けてきて

だからそういうのが得意なんだろう

と思われているフシがあって

 

だからまたそれに応えなければ、と思って

どんどん細かく丁寧に…

のスパイラル。

 

でも、もともと私は細かいことが苦手。

細かい手仕事など、見るだけで「無理!」

と思ってしまうタイプ。

 

版画を習い始めた時に作りたかったのも

部屋に床置きしたらカッコいいような

絵画というよりはポスター的なもの。

 

すぐに仕事として作るようになったことから

作りたいものと望まれていることとで

折り合いをつけながら

でも私自身が欲しいと思うものしか描かない

というポリシーで作品を作ってきたけれど

 

どうも形式の方が優先されて

本来の自分の気持ちが置いてけぼりを食らっているような気がして

ここ数年、もがいていたきたのですが。

 

で、アイデンティティとも言える色鉛筆からの脱却

を試みたことで

やっと見えてきた素の自分。

 

珪藻土ベースの作品では

形の抽象度を上げ、

色をきれいな色から渋く落ち着いた色に。

 

「雅な時間」ミックスメディア ©︎Mikako Watanabe 

 

クレパス画では、

テーマを「穏やかさ」から「楽しさ」へシフトして

細かいことに拘らず本能の赴くままに。

 

「猫のポーズ」クレパス画 ©︎Mikako Watanabe 

 

そんな中で見えてきた私が求めているのは

 

「味」

 

精製された砂糖や塩にはない

雑味がたっぷり含まれた自然の味のような

 

つるんとしたウレタン塗装ではなく、

木地目を生かしたオイルステインのような

 

それはともすれば技術の向上とは逆行するような

 

飾り気のない本能的なもの。

 

 

その感覚で描きながら

自分なりに画面を洗練させていっている時が

一番楽しく没頭できるのだと思い至りました。

 

細かいのが苦手なら大雑把に描けばいい。

 

それを作品に昇華できれば

それってその人にしか描けないものだし

それが一番強いのではないか…

 

よく「子供が描いたような絵」

と悪いように評価する時に言われますが、

 

頭で評価される超絶技巧よりも

心に訴えかけるきれいさよりも

なんだかわからないけど肚に響く

 

そんな絵が描けたらいいな、と思うこの頃。

 

絵が描けない、と困っている人への

ファーストステップとしても

なにかお役立てられないかなぁ、

と思いながら、絵を描いている今日この頃です。

 

 

「エスニックリビング」クレパス画・黒紙 ©︎Mikako Watanane

 

 

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渡辺美香子 作品展 vol.165

~わくわくの源を探して~

 

大阪狭山市 ギャラリー美游館

 

2023513日(土)~20日(土)

午前10時~午後6

最終日のみ午後4時まで

 

作家在廊日 5/1720 1300

 

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