人格も選べないのかも、『大いなる不在』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『大いなる不在』

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】近浦啓

【主演】森山未來、藤竜也

 

 

【あらすじ】

 疎遠だった父親が認知症を発症し、施設で保護をされていることを知った卓は、父親の元を訪れそこで義母がいないことに気付く。

 

 

【感想】

 主人公が疎遠だった父親を再発見していくというストーリー。父親は認知症となり突拍子もない言葉を繰り返す。社会性のあるテーマであり、啓蒙的なヒューマンドラマを予想したくなったが、映画はミステリーの要素を含み娯楽性や更に欲張り芸術性も見せようとしていた。父親役の藤竜也の演技が圧巻で、息子との距離感が安定し複雑な時系列のハードルも軽々と越えていた。そして認知症の症状を具に見せることで、人間の底の方にある感情が猜疑心や怒りであることを教えてくれる。愛で全てが終わればいいのに、執着心に取って代わられる。それでも人の縁は切れたりしない。