一発の銃弾が全てを変える、『フリー・ファイアー』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『フリー・ファイアー

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ベン・ウィートリー

【主演】アーミー・ハマー

【製作年】2016年

 

 

【あらすじ】

 銃取引のため、2つの組織のメンバーがボストンの倉庫に集まった。ちょっとした罵り合いや行き違いがあったものの、取引はスムースに運び双方ともに満足していたはずだった。しかし些細な争いが起こり、事態は収拾不能の大乱闘となっていく。

 

 

【感想】

 示唆に富み、教訓となりそうな物語だった。舞台は夜の倉庫、銃取引のために仲介者や組織のメンバーが集まってくる。銃を確認し、現金を払い、それぞれ引き上げていくという簡単な取引だったが、ちょっとしたきっかけで事態がこじれ、あれよあれよという間に後戻りできない状況に陥ってしまう。何とか事態の収拾を図るものの、一度崩れたバランスは混沌に向かって突き進む。

 

 

 映画は、サスペンスとアクションを混ぜ合わせたもの。IRAが活躍していた時代を舞台に、やたらと喋る登場人物たちが顔を揃える。コミカルな調子をベースに、激しくノンストップの銃撃戦が開始される。クエンティン・タランティーノの映画が好きなら、満足できる味付けだと思う。ちょっとした争いや偶然が重なり、騒動が制御不能な争いに展開していく。

 

 

 未来は予測不能で、一寸先は闇。さらに参加者が多ければ多いほど不確実性は増していき、一度崩れた秩序は二度と取り戻せない。一発の銃弾が、数百発の銃弾を生み出してしまう。物語がどこに流れ着くのか、最後の最後まで予測が付かなかった。往生際の悪さも際立ち、人間は案外なかなか死なないものだと感じさせてくれる。悪態を吐きながらの銃撃戦は、どこか牧歌的なムードを作り出していた。