【タイトル】『３月のライオン 後編』
【評価】☆☆☆☆（☆５つが最高）
【監督】大友啓史
【主演】神木隆之介
【製作年】２０１７年
【あらすじ】
着実に将棋のプロとして実績を積み上げていく桐山零だったが、親しく付き合う川本家や師匠の家では問題が起こり、桐山も無関係ではいられなかった。だが将棋同様、問題に正面から向き合うことで、空回りしながらも周囲の人間たちと信頼関係を築き上げていく。
【感想】
前編はグッとくるいいドラマだった。将棋の世界を中心に据え、演じる役者も真剣勝負を披露していた。登場人物に魂を吹き込み、将棋の静かさと棋士の熱さが絶妙に混ざり合っていた。そして今回がその後編で、かなり期待値を上げていた。当然のように前編以上のうねりを待ち望み、映画にドップリトはまるつもりで映画館に向かった。ただ、さすがにちょっと期待を高め過ぎたと反省。
後編では、将棋周辺のドラマに焦点を当てていた。前編は興行的にはイマイチだったようで、慌てて編集し直したということではないのだろうが、将棋の対局シーンは随分と減っていた。その代わりに、家族の物語などが前面に出てきて、将棋を知らない人にも楽しめるように配慮されていた。ただやはり、玉砕覚悟で将棋の世界を掘っていってほしかった。ハードボイルドな男の世界を見てみたかった。
それでも力のある俳優が続々と登場してきて、物語を盛り上げていく。散漫になりそうな話しを、主人公を演じる神木隆之介がしっかりとまとめ上げていた。運命に翻弄され、苦しむ人に渾身の力で救いを与えようとする。腰の入った清々しさが生まれていた。反面、欠点というほどではなかったが、高橋一生や倉科カナのシーンは多すぎた気もした。将棋的な言葉で言えば、指し過ぎだったのかも。好評に寄りかかると、コケることも多い。