【タイトル】『T2 トレインスポッティング』
【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)
【監督】ダニー・ボイル
【主演】ユアン・マクレガー
【製作年】2017年
【あらすじ】
仲間を裏切りアムステルダムで暮らしていたレントンが、20年ぶりに故郷のエディンバラに戻ってくる。そしてかつての仲間を訪ね、それぞれの苦境を知る。すぐにアムステルダムに戻る予定だったが、レントンはエディンバラに留まることにする。
【感想】
20年ぶりの続編。1作目は名作ともいわれ、スコットランドで暮らす20代のジャンキーの姿を描いていた。重いテーマにも関わらず、悲壮感は必要最低限に抑えられ、ポップな軽さで駆け抜けるような映画だった。映像と音楽も洒落ていて、映画を力強くうねらせていた。今回の続編は、ジャンキーたちの20年後の姿を見せている。なので、1作目を観てからこの映画に臨まないと、面白みや意味がちょっと欠けてしまいそう。
1作目と2作目の間にある20年間を、自然な形で見せることに成功していた。それぞれに微かな面影があり、時間の残酷さもまざまざと見せつける。ただし1作目と同様、シリアスな調子は感じさせない。20代の頃と同じようなバカ騒ぎを撒き散らし、夜の街を疾走する。ただ20年前にあった軽やかさは、もう感じられない。自業自得なのは承知しながらも、同じことを繰り返す主人公たちに痛々しさが染みてくる。
そして過去の映像の使い方が上手く、郷愁を誘いかけてくる。生まれ育った街には、かつての自分の姿が至る所にある。20年の重さがジンワリと伝わってくる。若い頃には一人で夢見ることが出来たのに、中年になるともう一人では夢を見られなくなるのかもしれない。夢見るには、かつての仲間の協力が不可欠なのかも。懸命に夢を見ようとする男たちの姿が少し哀れでもあり、まだまだ燃えているようでもあった。