冬眠中に幸せな夢が見れたらいいのに、『パッセンジャー』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『パッセンジャー

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】モーテン・ティルダム

【主演】クリス・プラット、ジェニファー・ローレンス

【製作年】2016年

 

 

【あらすじ】

 乗員乗客5000名を乗せた宇宙船“アヴァロン号”は、120年をかけ居住可能な惑星を目指していた。その間、乗員乗客は冬眠状態で過ごし、操縦や船内環境については全てコンピュータが管理していた。しかし地球を出発してから30年後、一人の乗員が目を覚ましてしまう。それは宇宙船内で死ぬことを意味していた。

 

 

【感想】

 それなりにお金を掛けたSF映画ではあったが、「スター・ウォーズ」や「スタートレック」シリーズとは違い、敵役が登場してこない。つまり戦闘シーンのないSF映画だった。戦闘シーンやアクションシーンは、SF映画の見せ場であることが多く、そういう意味ではちょっと静かなSF映画だった。それでも物語は後半に進むにつれ、段々と盛り上がっていく。異星人が登場しなくても、宇宙や未来を感じさせてくれる内容だった。

 

 

 映画の舞台は宇宙船内なので、密室劇といってもよさそうだった。登場人物も少なく、ストーリーで勝負する作りになっていた。なぜか一人だけ目覚めてしまう主人公の男、そしてここから恋物語が始まり、パニック・アクションに発展していく。自分以外の人間が眠っている中、一人だけ目覚めているという状況は、孤独感を募らせそう。孤独の演出の仕方も上手かった。

 

 

 そしてSF映画の見所の一つでもある、宇宙船のデザインや船内の装飾のレベルも高かった。宇宙船は、120年の航行に耐えられそうな無駄のない美しいデザインで、「スター・ウォーズ」や「スタートレック」に引けを取っていなかった。船内のデザインも未来感がありながら、無機質になりすぎてはいない。30年後に見ても、古さを感じないセット・デザインだったと思う。最近疎遠になりつつある、未来や宇宙を感じさせてくれる一本だった。