【タイトル】『君の名は。』
【評価】☆☆☆☆☆（☆５つが最高）
【監督】新海誠
【声】神木隆之介、上白石萌音
【製作年】２０１６年
【あらすじ】
東京の高校に通う瀧は、目が覚めると何故だか女の子になっている自分に気が付く。訳も分からぬまま女子高生としての一日を始めることに。同じく岐阜県の田舎で暮らす女子高生の三葉は、目が覚めると東京の高校に通う男子高生になっていた。二人は夢の中で心と体が入れ替わり、それが現実の世界でも続いていることに気が付く。
【感想】
大ヒットしているので、軽い気持ちで観に行ってみた。予告編で得た知識から、女子高生と男子高生の心と体が入れ替わる、軽いタッチの青春ものだと思っていた。しかし映画を観始めると、アッという間に映画の磁場に取り込まれて、周りにいる観客や先入観が消えてしまった。こういう感覚が味わえるから、映画はやめられない。そしてこの感覚はそうそう味わえるものではなく、この「君の名は。」は文句なしに面白かった。
ストーリーは、単なる心と体の入れ替わりではなく、時間と空間を思い切って使っている。時間と空間のズレが、切なさやもどかしさを生み、最後に大きなうねりとなって結び付く。理屈であれこれ考える間もなく、ふんわりとした曖昧さの心地よさに、いつまでも乗っていたくなる。タイミングよく入る音楽も心を揺さぶり、流行の言葉で言えば、映画とのシナジー効果が抜群だった。
もちろん絵にも見とれてしまい、普段目にしているはずの街が、ワンランク上の輝きを示していた。瑞々しい新宿を、新鮮な気持ちで眺めることが出来た。主人公の二人を演じる、神木隆之介と上白石萌音も申し分なく、男女の入れ替わりに何の違和感もなかった。そして何より、編集の妙を随所で見せつける。バラバラになりそうな物語を、リズムよく繋げてしまう監督の感覚には恐れ入るしかない。