情熱の国ならでは、『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト

【評価】☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】クーロ・サンチェス

【主演】パコ・デ・ルシア

【製作年】2014年

 


【あらすじ】

 1947年、スペイン南部のアルヘシラスで生まれたパコ・デ・ルシアは貧しい家庭に育つが、父親がギタリストであったため7歳でギターを始める。父親以上に正確なリズム感を持っていたパコは、早くも12歳でプロのギタリストといてデビュー、兄と共にアメリカでのツアーに参加する。

 


【感想】

 2014年に急逝した、ギタリストのパコ・デ・ルシアの足跡を追ったドキュメンタリー。監督がパコ・デ・ルシアの息子ということもあって、幼少期の写真や、身近な人のインタビューがふんだんに挿入されていた。パコ・デ・ルシアは、フラメンコのギタリスト。フラメンコやスペインに興味がないと、凄さや有難味が分からないのかもしれない。

 


 それでも、この映画の映像を見ているだけで、ギター・テクニックの凄まじさは分かる。とにかく指の動きが早い。ギターの絃を抑える左手が素早く動くのは当然で、更に絃をつま弾く右手が目にも止まらぬ速さで動く。とにかく指が忙しい。そして音の粒子が大きく、クッキリとしている。ゆったりと漂うというよりは、機関銃にも似た音を浴び続ける感じがした。

 


 映画館はほぼ満席。客層はかなり上の年代の人が多かったが、フラメンコ音楽に馴染があるのは、どういう世代なのかちょっと気になる。ただフラメンコのリズムを受け入れるのは、簡単ではないのかも。このリズムは子供の頃から浴びていないと、なかなか身に付かない気もした。「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」とは違い、のんびりと音楽の波に漂うというわけにはいかない。観る側の気力も試されている。