若さはときに見苦しい、『ヤング・アダルト・ニューヨーク』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ヤング・アダルト・ニューヨーク

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】ノア・バームバック

【主演】ベン・スティラー

【製作年】2014年

 


【あらすじ】

 映画監督のジョシュと、プロデューサーのコーネリアは40代の夫婦。子供はなく、自由を謳歌しながら暮らしていたが、何か物足りなさを感じてもいた。ある日、講師の仕事をしていたジョシュは、聴講生のジェイミーからあなたファンだと声を掛けられる。大いに気を良くしたジョシュハ、映画監督を目指す若いジェイミーから逆に刺激を受けるようになる。

 


【感想】

 ニューヨークが舞台で、ニューヨークっぽさを前に出した映画。ニューヨークというと、ビリー・ジョエルの名前が浮かんでくる。確かに70年代や80年代の前半は、ナイーブで繊細なイメージがあり、これぞニューヨーカーといった趣があった。しかし最近のビリー・ジョエルは、恰幅がよくなり朗らかで、いかにもアメリカ人といった風貌。ニューヨーカーからアメリ人に変身してしまった。

 


 この映画は、映画製作の舞台裏を題材にして、ニューヨークの今の色合いを見せている。主人公は、映画作りが進まなくなったドキュメンタリーの監督。彼の前に現れたのが、才能豊かでユニークな若者。まだまだ若いと思っている主人公は、若々しい生活を手に入れようと必死になる。そして中年男がたどる痛々しさが、じんわりと広がってくる。インテリが好みそうな、皮肉や辛辣さが練り込まれた軽めのコメディー。

 


 ウディ・アレンのような映画といった評もあったが、そう簡単にあの域には行けない。勝手気ままに撮っているようで、キッチリと形にするのがウディ・アレンの凄さ。自分のやりたいことをやっても、矩を越えない。この映画には、自己顕示欲が強く出ていた気もした。これが若さなのかも。皮肉の効いたセンスあふれる映画は格好いいが、やり方を間違えたり、何かが多すぎたりすると生臭くなる。