不機嫌で美しい、『ダーク・プレイス』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『ダーク・プレイス

【評価】☆☆☆☆(☆5つが最高)

【監督】ジル・パケ=ブレネール

【主演】シャーリーズ・セロン

【製作年】2015年

【あらすじ】

 1985年、カンザス州の田舎町で母親と娘二人が殺害される事件が発生した。容疑者として逮捕され服役したのは、当時15歳の長男。そして長男が犯人だと証言したのは、当時8歳で生き残った末娘のリビーだった。28年後、荒んだ生活を送っていたリビーは、お金に困り殺人クラブというサークルに参加して事件について語る。その際メンバーから冤罪の可能性があると言われ、リビーは刑務所にいる兄に会いに行く決心を固める。

【感想】

 正統派と言いたくなるようなサスペンス。緩むことなく、緊張感を漲らせて最後まで進んでいった。世界中でサスペンス映画やドラマが溢れている昨今、新たなサスペンスに挑むという気概だけで拍手を送りたくなる。しかもミステリアスな緊迫感を維持し、なるほどと思わせる結末も用意している。登場人物が多く、しかも様々な思惑が絡む構成なのに、映画は話しをスッキリとまとめていた。

 ストーリーは、1985年と28年後の現在を行き来する。主人公は28年前に事件を目撃した女性で、事件の衝撃から立ち直れず、寄付金に頼って荒れた生活を送っていた。そこに事件を振り返る機会が訪れ、封印したはずお記憶を呼び起こそうとする。主人公は事件当時の関係者に会いに行き、次第に失われた記憶のピースを集めていく。もしかすると事件の真相は、こういうものなのかもしれない。窺い知れない何かがあって、冤罪の起こる可能性をゼロにはできない。

 映画の見所は色々とありそうだったが、一番引き付けられたのはシャーリーズ・セロンの美しさ。社会の底辺に近い位置で生きているという設定ながら、驚くほどの美しさを見せつけていた。着古した安っぽい服を身にまとっているのに、なぜだかクールでカッコいい。普通の人が同じ格好をしたら、単にお金のない人で終わってしまいそう。シャーリーズ・セロンは、まさに掃き溜めに鶴を体現していた。美しさはを隠すのは簡単ではないのかも。彼女の美貌と不機嫌さが、映画を大いに輝かせていた。