どこかで化けてほしかった、『推理作家ポー 最期の5日間』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『推理作家ポー 最期の5日間

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】ジェームズ・マクティーグ

【主演】ジョン・キューザック

【製作年】2012年


【あらすじ】

 1849年ボルティモア、作家エドガー・アラン・ポーの小説を模倣した残忍な連続殺人事件が発生する。警察はポーに捜査協力を依頼した。ポーは現場に赴き犯人の残していったメッセージを手にするが、犯人はポーを挑発するかのような大胆な行動を取り、ポーに謎解きを迫る。


【感想】

 推理小説のスタイルを確立したと言われる、エドガー・アラン・ポーを主人公にした映画。ポーは40歳で不可解な死を遂げたとされ、この映画はその謎をストーリーに組み込み、ミステリーに仕立てている。物語の展開は推理小説のスタイルを踏襲。きっとエドガー・アラン・ポーのファンを取り込もうとしていたのだと思う。


 ストーリーは、ポーの小説を模倣した連続殺人事件が起こり、その謎をポー自身が解いていくという形になっている。犯人はしっかりと手掛かりを残し、次の犯行を示唆していく。生真面目な作りの映画だったとは思うが、反面、面白みや驚きにはやや欠けていた。最後の最後に一点に収束する、ミステリーの醍醐味もあまり感じられなかった。


 19世紀中頃の雰囲気は頑張って作っていたが、どうにも地味な印象が抜け切らなかった。野球でいえば、6番や7番あたりを打つバッターのよう。それなりの仕事はしても、強い印象はあまり残さない。犯人の壊れっぷりや奇抜なトリック、派手なアクションや切なさの漂う動機など、大胆な暴れ方があってもよかった。エドガー・アラン・ポーに強い思い入れがないと、すぐに忘れ去ってしまいそうな映画。