音楽の力も及ばず、『カルテット!』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『カルテット!

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】三村順一

【主演】高杉真宙

【製作年】2011年


【あらすじ】

 プロのヴァイオリニストを目指す中学生の開は、家族がギクシャクしていることを強く感じていた。かつてピアニストを目指していた父親は失業中で、チェロを弾いていた母親は怒りっぽくなり、フルートを吹いていた姉は非行に走っていた。開は音楽を通して家族を再生させようと、カルテットを組むことを提案する。最初は気乗りしない家族だったが、少しずつに前向きな気持ちになっていく。


【感想】

 松竹が心配になるような映画だった。上映していたのは丸の内ピカデリー。銀座地区でもあり、松竹の顔といってもおかしくない映画館。そこで公開されたのがこの「カルテット」。埋め草的な映画として上映しているのは分かるが、もう少しちゃんとした映画はなかったのかと何だか悲しい気持ちになってきた。


 この映画のウリは、震災の被災地である浦安でロケが行われたということ。大きなハンデではあったのだろうが、不出来な内容の言い訳に使ってはいけないような気がした。市民にエキストラとして参加してもらうのは構わないが、素人がセリフを棒読みするのは頂けい。何だか映画が記念撮影の場として使われているようだった。


 更に映画自体も脚本を棒読みしている感じ。それなりに盛り上げようとしているのは分かるが、最大の目的は映画を無難に完成させることのようだった。斬新さや冒険とはまるで無縁の映画になっていた。お役所や経理マンとしての仕事なら及第点なのかもしれないが、映画としてはガッカリな仕事ぶり。観ていて気恥ずかしくなるシーンが結構あった。この映画を観る限り、松竹の株はウリかも。