次回作は熱海あたりで、『アマルフィ 女神の報酬』 | 平平凡凡映画評

平平凡凡映画評

映画を観ての感想です。

【タイトル】『アマルフィ 女神の報酬

【評価】☆☆(☆5つが最高)

【監督】西谷弘

【主演】織田裕二

【製作年】2009年


【あらすじ】

 イタリアの日本大使館に赴任したばかりの外交官・黒田は、日本人少女誘拐事件の捜査に関わることになる。犯人の要求でローマ市内を誘拐された少女の母親と駆け回り、更にはローマから離れた街アマルフィへと向かう。黒田は犯人の狙いを読み、また防犯カメラの映像から犯人の姿を割り出そうとする。


【感想】

 終始一貫していたのは、この映画が織田裕二のためのものだったということ。織田裕二が、完璧に織田裕二を演じきっていた。きっとファンにとっては、堪らない一本になっていたはず。映画自体が、織田裕二を浮かび上がらせるためのセットや装飾品として存在している。そして織田裕二が、フジテレビから本当に愛されているのが分かる。もしかすると、「踊る大捜査線3」との抱き合わせ企画だったのかもしれないけど。


 ただ、織田裕二のファン以外の人にとっては、イマイチの内容だったと思う。まず何と言っても脚本がヒドイ。テロリスト云々の映画は日本人には撮れないのではないか、と思えるほどの出来映え。無理筋を恥ずかしげもなく堂々と進むストーリーは失笑の連続。「あり得ないだろ」の言葉が、段々と快感に変わってくるほどだった。それにしても、よくこの脚本で映画製作が始められたと思う。


 それでも前半は、テンポもありシャープさも保っていた。ローマ市内の疾走も悪くはなかったと思う。オープニングの映像の繋げ方も、なかなか洒落ていたし。おかしくなるのはアマルフィの滞在あたりから。後半は、目をつぶって「エイヤッ」と撮ったような内容。ツッコミどころ豊富で、見るも無残なストーリーを晒していた。決して絶賛されることはないと思う。


 しかしラストの見せ場は、少し嬉しい気分になってきた。テロリストの立て篭もる部屋に突入するのが織田裕二。何となく「24」のジャック・バウアーや「ダイ・ハード」のジョン・マクレーンをイメージしたが、織田裕二の武器はやはり織田裕二だった。具体的に言えば、織田裕二の自信と気合でテロリスト一味を押さえ込む。誰にも真似できないヒーローの姿。もう少ししっかりとした脚本で次回作を観てみたい気もした。