日曜日のことでした。
地下鉄のホームから改札へと向かう人の波の中で、ふと「あれ?私はどこへ行くんだっけ?」と、急にわからなくなりました。
アサミ、いよいよか!
…そう思われた方、いえ、そうではありません。
正確には自分はこれから劇場に行き、一日そこで受付の仕事をするのだとわかっていました。
今日一日のスケジュール、それは覚えているのに、それでもなおどこか行く場所が他にあるような、そんな気がしたのです。
「どこへ行くんだっけ?」というその思いは個人的な用事だったのか、約束だったのか。
約束だったとして、それは大切な誰かと「行こうね」と言いながら叶わなかった無数の約束のひとつが、春を間近に感じながらもまだ冷たいこの季節に果たされるべきものだったのか、誰ということもなく他愛もない会話の中で「行きたいね」と話したのかこんな朝だったのか。
思い出せないけれど、「どこかへ行くはずだった」というその想いだけが唐突に甦り、一瞬のことでしたが胸がギュッと痛みました。
…肋間神経痛ではないと思います。多分。
なぜ唐突にそんな事を思ったのか。
その駅が昔は毎日のように仕事で降り立っていた駅で、その朝に吸い込んだ空気が、当時の空気によく似ていたのかもしれません。
その空気を感じていた頃に使っていた、未だに動いてんのかよ!と驚くほど古い言語で、いまプログラムを作っています。
最初は引き受けるんじゃなかった!と後悔の嵐でしたが、長い間使っていなかったため恐ろしいほど欠落した記憶も数日経つうちになんとなーく呼び覚まされ、「サルでもわかる○○」的な掲示板にお世話になりながら細々と進む日々。
後悔の嵐はバグの嵐に変わり、やっぱり引き受けるんじゃなかった!と思わなくもないのですが、芋づる式にすっかり忘れていた思い出達も引き出されてきて、件の「どこへ行くんだっけ?」もそれが呼び水となったのかもしれません。
しかしまあ、昔取った杵柄と言いますか、先週観た『CATS』でも同じようなことがあったのですが、とうに忘れたと思っていた英語の歌詞が映画を観ながらだと自然に口をついて出てきて、我ながら吃驚。
記憶って意外と細かいことまで残っている。
昔つきあっていた人が「🎵メぇモリ~ モノサシのメぇモリ~」と歌っていたアホな替え歌までウン十年ぶりに思い出しました。
ともかくその昔取ったかなり心もとない杵柄で、ここ暫く日々ポチポチとパソコンに向かっています。
実際には何をしていてもプログラムのことを考え続けていて、日曜日も受付業務をこなす合間も思考は半分ソチラだったのですが、「あ!!」と閃いたことがあり、でも、仕事中にメモは取れないので後で書こうと数時間後にスマホに向かいましたところ。
何も思い出せませんでした。
……アサミ、いよいよかもしれません。
でもこれは忘れてない!
今年も無事(?)さくらのショッパーをゲット出来ました。