私は、小学校1年生の時に初めてコンクールに出ました。

その後、何十回も出ているので、課題曲は、ほとんど覚えていません。

ただ、1年生の時のことは、今でも記憶に残っています。

課題曲は、ブルグミュラーの「素直な心」
八分音符がなめらかに弾けなくて、ふてん練習を沢山しました。


初めてのコンクールで得た「物質」は、賞状だけ。

「お母さん、なんで、わかちゃんは、トロフィーをもらえないの?」

毎日1時間、練習したのに、間違えずに弾けたのに、なぜ私が1番ではないのか?
悔しいのではなく、とても不思議でした。

「あれは、もっと上手な人が、もらうものだよ」母に言われ

「なるほど、ではもっと練習しよう。ピカピカの、1番の印が欲しい」
と思ったことも、よく覚えています。


初めてのコンクールで得た「物質」は、賞状。

でも「物質でないもの」は、たくさん得ました。

・1人で、毎日1時間、練習できるようになったこと。

・欲しくても、買ってもらえない物があることを知ったこと→その数年後、努力を継続することで、手に入ることも、知った。

・今まで「できている」と思っていたのは、高いレベルから見た時、全然出来ていないと知ったこと。


・たった3か月、熱心に練習したぐらいでは、1番にはなれない、と知ったこと。

・自分だけでなく、みんなたくさん練習していることを知ったこと。

・前より動く指

・譜読み力

・「もうできない、でも、あと一歩頑張ってみよう」の粘り強さ

・レッスンでの素直さ

・緊張の中、1人で、1つのことをやり通すこと

・先生のおっしゃることは、聞かなければならないと、わかったこと。


・練習を継続すること

・本番の一回に全てを注ぎ込むための集中力、瞬発力

・集中の持続


そして、もう1つ、大きな大きなおまけが、ついてきました。


小1の頃の私と言えば、泣き虫で、神経質で、すぐに、お腹が痛くなる子も。

でも「ピアノコンクールで、賞状をもらった」ことにより、
学校の先生が、学習発表会の歌の伴奏に選んでくださいました。

そこから、学校生活でも自信が生まれ、お腹が痛くならなくなったのです。

ピアノがなかったら、私はどうなっていたのか…考えると、こわくなることが、あります。


小~高校時代のコンクールを振り返った時
「結果」だけを見ると、成功も失敗もあります。

でも
「得たもの」を数えてみたら
「失ったもの」など1つもなく、
成功体験だらけでした。


暗い舞台袖から、明るい舞台に出ていく瞬間も
静寂の中から、音を生み出す瞬間も、背筋がピンと伸びて、大好きでした。


今回、挑戦する生徒さんも、舞台経験を増やすことで、成長していってほしいと思っています。