動物病院を運営する 1 | いまもとしげきのブログ

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第66回 全日本社会人ボクシング選手権 ヘビー級 優勝
平成26年度 神戸市スポーツ表彰
平成26年度 兵庫県スポーツ優秀選手
獣医師・防災士・大学非常勤講師・日本サッカー協会公認D級コーチ

2002年に開業して以来、もう17年も動物病院をやっています。

今日は、そんな中で考えたことをうだうだと書きます。

 

動物病院を開業するってなんだろう?って考えたんです。

 

開院当初は、知識も装備(医療器材)もなく、最低限の診察しかできなかったと思っています。

では、そんな状況で開業していいのか?というと、私は、開業してもいい!と思ってます。

 

なぜ?

 

だってね。これを否定すると、一切、動物病院開業ってできないからです。

 

動物病院の開業に最も必要なのは、思い切り・・・。だと思ってます。

少々の自分への過信がある方がいいんです。(要するに、ハート。。。)

 

その理由ですか?

 

その理由は簡単です。

 

完全にすべての分野に精通する獣医師にはなれないからです。

 

自分が完璧だと豪語する獣医師は、ほぼ詐欺ですよ。

日進月歩の分野で完璧は存在しません。だからこそ、日々勉強なんですよね。

受験勉強なんか鼻くそと思えるほどの本の数を読んでいます。(あ~、もっと高校の頃に、、、とかは言いません!)

 

それなら、やる気のある先生が、よっしゃ!ってなった瞬間に開業するのがいいのではないでしょうか?

 

そして、最初のうちは、正直にできないと判断した症例は、紹介すべきなんです。今の時代は2次病院や専門性の高い施設がありますので、紹介すべきです。最初は、それでいいと思います。ここまで否定されてしまうと、開業したばかりの先生にはリスクしかないはずです。

 

そうやって紹介するうちに、診断がつき、そして、自分でも知識にもなると思います。

 

ただし、その経験を知識として自分のものにできるかどうかは、その先生の努力次第でしょう。

あとから考えると、もっとこうしておけばよかったとか、もう少し早くこの検査すればよかったというのは正直あります。

 

例えば、下痢できていた猫で、整腸剤を使用してました。そうすると、改善して、でも、しばらくすると悪化します。

これを数回繰り返しました。

あまりにも繰り返すので、整腸剤では改善しないと判断して、内視鏡検査で、消化管の病理検査を実施しました。

そうしたところ、診断がつきました。そして今では、内服は必要ですが、いいウンコしてます。

 

こういうことを繰り返せば、経験から来る何かが働きます。

きっと自分も若い頃は、何でもかんでも、検査やればわかると思ってましたから、、、、

でも、下痢で来院されていきなり内視鏡ってハードル高いっす。

 

90%は、初回の治療に反応してくれます。

その残りの10%をどうするか?

その10%をカバーするのが、知識であり経験であり、医療器材であります。

 

若い頃には、検査やりすぎたなぁ、、、ってこともありました。

これ、過剰医療に近いかな?と思いますが、これは、現場の先生が判断して、必要と判断したから検査したんだよ!となれば、

その判断が最も重要視されます。

 

だから、検査やりすぎであっても、きっと、その先生が必要だと判断されたのでしょうね。ってなります。

 

最近は、若い先生はとても勉強されています。

しかし、経営については学ばれている先生はほとんどいません。だから、開業してもたいていは経営的には苦しいんです。

技術や知識があっても、なかなかお金がたまらない。そうなれば、設備投資もできない。勉強するためのお金も出せない。

そういう状況になります。私も、最初は苦しくて、自分のお金を削って学会などに参加してました。

開業して数年の頃に、大学の先生に誘われて海外の学会に行こう!ってなったことがあります。

海外の学会って、5日くらい参加で10万とかするんですね。旅費は別なので、なんだかんだで30万ほどかかる…。

さぁ、どうしたらいいか?しかもその間、病院では、収入が、、、ってなるんです。

でも、行きました。おかげで、海外の先生とも話しできたし、大学の先生ともいろいろと話しできて、しっかりと勉強できた期間でした。

人脈(困ったときに頼る先生)って必要ですね。

 

こういう先行投資ができるか否か?です。

(開業当初は、そんな金あるなら、機械買いたいんですけどね。でもね、その病院の最も高価な医療器材は院長先生だと思います。)

 

だから、若い先生には開業して、そして数年間は、遊ぶこともやめて死ぬ気で、勉強してほしいと思います。

 

「自分は知識も不足してるし、まだまだ開業できないかなぁ。。。」

 

と思ってる先生は、一生開業できないと思います。

だって、我々の扱う分野は、内科も外科も整形外科も皮膚科も、、、全部ありますからね。

求められるのはまずは総合診断医。必要な検査を見極められるそういう広い視野ですね。

そして、いいかかりつけになることです。

子犬から、子猫から見てくると、獣医師ってのは異変に気が付きます。

 

その先生に任せて、10年も見てもらえたら、来院するだけで、今までのカルテってデータベースあるので、いろいろと見えてきます。

 

本当に、かかりつけの先生の真価が見えてくるのは10年後でしょうね。

 

私がよく言うのは、病院ジプシーをして、色んな病院の品定めしていると不幸になる。ってことです。

 

かかりつけの(近所の)主治医を見つけてください。です。

だから、病院ってのは、いっぱいあっていいんです。むっちゃ、小規模でもいい。

経営が苦しくても、動物のためにやっていけると思ったらどんどん開業してくれていいんです。

 

そして、必要とされない病院がなくなるのは、仕方ないと思います。動物病院をしっかりと飼い主さんが選べば、

いい病院だけが残ります。

 

こういうサバイバルレースが、医療レベルを高めます。

 

それに期待します。そういうのワクワクしません?自分がはじき出されないために頑張るとか、選ばれるために頑張るのが医療じゃないんですよね。患者さんのためにあるのが医療です。私は、そう思ってます。

だから私は、経営なんか考えません。

 

医療って、そういうもんじゃないですか?