シトリン夫婦は夕食のみを一緒に食べる「夕食婚」である。
自宅を本宅と呼び、仕事場を別宅と呼ぶ。
シトリンは夕食のみを旦那様と食べるために本宅に帰っているのである。
6月30日、近くにあるデパートが閉店した。
小さな店舗ではあったが、駐車場もあり、お中元やお歳暮、デパートの包装紙で包んだものを贈りたいときなどは重宝していた。
閉店セールが行われていたが、シトリンはもっぱら銀行のATMの記帳などのために行っていた。
最近富に物欲が衰え、というか、財政逼迫の折り、半額になっても欲しいものがなかったからだ。
ATMでの貴重が終わり、通路を歩いていたら、
客が買ったものを紙袋に入れ、手渡しながら店員さんが言った言葉が耳に入った。
「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」
あと、4時間で閉店である。
8時前、スーパーに買い物に出かけた時、歩道橋に人だかりができていた。
スーパーの駐車場に入り、シトリンもその歩道橋に行ってみた。
閉店のセレモニーが行われていた。
店長の挨拶が終わった時、雰囲気的には拍手が起こりそうだったが、
今時である。皆、スマホ片手に動画や写真を撮っているため、拍手はパラパラ。ちょっと寂しい。
この夏、どうしようか。街中のデパートまで行く元気はない。
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