題詞 1

為朝(ためとも)-外伝(ぐわいでん)弓張月題詞

鎗刀剣戟三千隊。鉄馬金戈一万重。

斬将入堅人莫敵。応教冠者顕英雄。

射柳穿楊芸術奇。保元敵将竟難支。

駈兵入陣山川暗。斬寇帰営日色低。

錦袍金甲黄驃馬。玉帯銀〓素線〓。

腰下雕弓頻挿箭。手中鑽鉄利鋒刀。

日出扶桑二丈高。金蘭何処匿生逃。

男児未遂平生志。磨損腰間帯血刀。

鎗刀(さうたう)剣戟(けんげき)三千(さんぜん)隊(たい)。鉄馬(てつば)金戈(きんくわ)一万(いちまん)重(ぢゆう)。将(しやう)を斬(き)り堅(けん)に入(い)つて人(ひと)の敵(てき)する莫(な)し。応(まさ)に冠者(くわんじや)をして英雄(えいゆう)を顕(あら)はさしむべし。

柳(りう)を射(い)楊(やう)を穿(うが)つ芸術(げいじゆつ)奇(き)なり。保元(はうげん)の敵将(てきしやう)竟(つひ)に支(さゝ)へ-難(がた)し。兵(へい)を駈(か)り陣(ぢん)に入(い)つて山川(さんせん)暗(くら)く、寇(こう)を斬(き)り営(えい)に帰(かへ)つて日色(につしよく)低(ひく)し。

錦袍(きんぼう)金甲(きんかふ)黄驃馬(くわうへうば)。玉帯(ぎよくたい)銀〓(ぎんくわい)素線(そせん)の〓(おび)。腰下(えうか)雕弓(てうきゆう)頻(しきり)に箭(や)を挿(はさ)み、手中(しゆちゆう)鉄(てつ)を鑽(き)る利鋒刀(りほうたう)。

日(ひ)出(い)でて扶桑(ふさう)二丈(にぢやう)高(たか)し。金蘭(きんらん)何(なん)の処(ところ)にか生(せい)を匿(かく)して逃(のが)れん。男児(だんじ)未(いま)だ平生(へいぜい)の志(こころざし)を遂(と)げず。磨(ま)し損(そん)ず腰間(えうかん)血(ち)を帯(お)ぶる刀(かたな)。

 題詞 2