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@よとゝもにこや山姫のさらす成白玉われぬ布引のたき W620

\△△△△△△△△△△△△△△△磨守為家

@水上は霧立こめて見(み)えね共音そ空成布引のたき W621

\△△△△△△△△△△△△△△家(いへ)つな

@いくひろとしらまほしきはやまひめのはるかにへたるぬのひきのたき W622。

\としかはりぬれば承保四年といふ。所々(ところどころ)の有様(ありさま)つねよりもめでたう見(み)ゆるに。中宮(ちゆうぐう)には男(をとこ)-宮(みや)。女(をんな)-宮(みや)御いただきもちゐの程(ほど)などいみじうめでたし。御乳母(めのと)-達(たち)の美(うつく)しうおはしますさまいふかたなし。二日はとのに臨時(りんじ)/の-祭(まつり)などいとめでたし。女房(にようばう)紅梅(こうばい)のにほひに。萌黄(もえぎ)のうちたるきたり。せいあればかずいつゝなり。されとわたいとあつくてすくなしども見(み)えず。数多(あまた)あるこそあつきもあまりなれ。うちいでたるはうすきはものげなきに。いときよけに見(み)ゆ。上達部(かんだちめ)殿上人(てんじやうびと)参(まゐ)り給(たま)ひ/て御あそびあり。右大(おほ)-殿(との)ものすむしなとせさせ給(たま)ふ。中将(ちゆうじやう)-殿(どの)は三位にておはします。去年(こぞ)/の冬(ふゆ)民部卿(きやう)のむこにならせ給(たま)ひ/にきうちの御いもうと/の\宮(みや)たちになど聞(き)こえつれど。いかに\思(おぼ)し/けるにか。かくなし奉(たてまつ)らせ給(たま)へれ/ば、いみじうもてかしづき聞(き)こえさせ給(たま)ふ。四にあたらせ給(たま)ふ。姫君(ひめぎみ)になんものせさせ給(たま)ひ/ける。この民部卿(きやう)は男(をとこ)一人(ひとり)。宰相(さいしやう)中将(ちゆうじやう)にてものし給(たま)ひ/しは。去年(こぞ)/のはるうせ給(たま)//。異腹(ことはら)-ども/に/は\いと\多(おほ)く\おはす/べし。おほかた\入道/の右大殿(頼宗)

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/ゝ\御末(すゑ)\いと\多(おほ)く\ものせ/させ\給(たま)ふ。かくていまの右大(おほ)-殿(との)十余(よ)日よりかぜおこらせ給(たま)ひ/て、日頃(ひごろ)/になれど\更(さら)/に\をこたらせ給(たま)はず。いかに<と御かたがた思(おぼ)し召(め)す。この十一日に陽明門院(ゐん)に行幸(ぎやうがう)あり。東三条(とうさんでう)に渡(わた)ら/せ給(たま)ひ/ていみじうめでたき/に/も\ゐんの御(お)-前(まへ)には哀(あは)れ/にいみじう思(おぼ)し召(め)さる。はいし奉(たてまつ)らせ給(たま)ふ\程(ほど)/など\涙(なみだ)ぐましく思(おぼ)し召(め)す。人々(ひとびと)かかいおほくしたり。右大(おほ)-殿(との)のかぜ\更(さら)/に\をこたらせ給(たま)はで、いと苦(くる)しうせさせ給(たま)へ/ば、恐(おそ)ろしきことを思(おぼ)し召(め)す。廿日のほとなど/に/は\いとをもくならせ給(たま)へれ/ば、とのの上(うへ)も渡(わた)ら/せ給(たま)ひ/ておはします。二月十七日に太政(だいじやう)-大臣(だいじん)の宣旨(せんじ)くだりぬ。いとめでたき御有様(ありさま)になん。村上(むらかみ)の御門(みかど)/の御孫中務(なかつかさ)/の-みやの御(おん)-子(こ)。式部(しきぶ)-卿(きやう)/の-みやの御むすめの御はら、いはんかたなくあてにやんごとなき御有様(ありさま)なり中務(なかつかさ)/の-みやの御はら、女御(にようご)。麗景殿(れいけいでん)の女御(にようご)と申(まう)しも。中務(なかつかさ)/の-宮(みや)の御女におはしましき。さればかたがたたゞ人(ひと)の筋(すぢ)には離(はな)れさせ給(たま)へりき。御かたちいと愛敬(あいぎやう)づきもの<しくものせさせ給(たま)ひ、御さえおはしまし。御てめでたくかかせ給(たま)ふ。中宮(ちゆうぐう)を御孫にて一/の-宮(みや)を見(み)奉(たてまつ)らせ給(たま)ふ。関白(くわんばく)-殿(どの)/の上(うへ)を御むすめにておはしまし。大納言(だいなごん)二人(ふたり)宰相(さいしやう)中将(ちゆうじやう)。又(また)法性寺ざす僧都(そうづ)にてなどいとめでたきなからひなり。かくてつゐにうせさせ給(たま)ひ/ぬれ/ば、誰(たれ)も<いみじきことを\思(おぼ)し-惑(まど)は/せ給(たま)ふ。大将(だいしやう)-殿(どの)/の上(うへ)。いま姫君(ひめぎみ)なと申やるべきかたなし。とのの上(うへ)もかかることも御覧(ご-らん)じ-ならは

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