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/の\なりなども、人こそここらもて参りあつまれ/ば、よしあしを人のきこゆべきにあらず。
三の御かたみなる中にすこし御かたちも心(こころ)ざま/も\いとわかうおはすれど、「さのみやは」/とて、帥宮にあはせ奉(たてまつ)らせ給(たま)ひ/つ。みやの御志(こころざし)、世の〔御(おん)-〕ひゞきわづらはしうおぼされたれ/ば、哀(あは)れ/なり。わ/が\御志(こころざし)はゆめになし。とのもことはり/に、とりわきおぼし見奉(たてまつ)らせ給(たま)ふ。されどみなみ/の-院(ゐん)にむかへ奉(たてまつ)らせ給(たま)ひ/ぬれ/ば、あべきかぎりにておはします。四の御かたいと若うおはすれど。内の御-ぐしげ殿と聞(き)こえさす。
此の御はらのあるがなかのおとうとのきみは、三位中将(ちゆうじやう)になし聞(き)こえ給(たま)ひ/つ。六条(ろくでう)の右のおほい-殿(どの)。いみじきものにかしづき給(たま)ふ\ひめぎみにむこどり\給(たま)ひ/つ。大臣(おとど)、御としなど老い給(たま)ひにたるに、此の三位中将(ちゆうじやう)の御こと/を\いみじきことにおぼし/て、よさりはよなかばかりにおはするにも。われはおほとのごもら/で\よろづをまいりごち給(たま)ふ/も、哀(あは)れ/にいみじき御志(こころざし)を、此の中将(ちゆうじやう)のきみゆめにおぼしたらず、かげまさの大進のむすめ/を\いみじきものにおぼいて、このひめぎみの御ため/に\いみじうをろかにおはすれ/ば、関白(くわんばく)-殿(どの)いとかたはらいたう\かたじけなきことにの給(たま)はすれど、おとこの心(こころ)はいふかひなげなり。
かくて一条(いちでう)の太政(おほき)-大臣(おとど)の家(いへ)/を/ば\女院(にようゐん)らうぜ/させ給(たま)ひ/て、いみじうつくらせ給(たま)ひ/て、御門(みかど)の後院に思(おぼ)し召(め)すなるべし。大納言(だいなごん)-殿(どの)は、土御門(つちみかど)のうへもみやの御かたも、みなおとこぎみをぞ生み奉(たてまつ)らせ給(たま)ひ/ける。殿(との)/のわかぎみをば、たづぎみとつけ奉(たてまつ)らせ給(たま)ひ
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