Tue 240903 銀座のトンカツ屋で思う/黒門市場と弘前・中三/デパートに行こう 4565回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 240903 銀座のトンカツ屋で思う/黒門市場と弘前・中三/デパートに行こう 4565回

 今日はまた雨だが、昨日の東京は気持ちよく晴れていた。ホントに久しぶりの晴れだったので、1週間ぶりの銀座に出て、旨いヒレカツ定食を貪った。

 

 厚切り → 200グラム以上のヒレカツがどれほど旨かったかは、また将来このブログに写真入りで詳しく書くとして、いやはやこんなに旨い銀座のトンカツ店なのに、日本人の姿はマコトに少なかった。

 

 ワタクシは、心配なのである。外国人が多すぎるとか、オーバーツーリズムとか、そういうことももちろん心配だが、日本の人たちにあんまり元気がなさすぎて、こんなに旨いトンカツをみんな外国人に食べられてしまっている。心配のタネはそこだ。

(夏の思ひ出:瀬戸内海の大久野島にて。80年前は「毒ガスの島」だったが、いまはウサギたちの遊ぶ平和な島である 1)

 

 店の中に、日本語は珍しい。中国語をはじめとするアジア系言語が席巻、銀座1丁目から8丁目まで、「むしろ日本のコトバのほうが外国語の立場なんじゃないか」と錯覚するぐらいに、滅多に日本語は聞こえてこない。とんかつ屋で働くオバサマたちだって、なかなか日本語を使うチャンスに恵まれない。

 

 若い諸君、もっともっと元気を出したまえ。そりゃトンカツぐらい、わざわざ銀座に行かなくたって、「かつやのトンカツの方が好き」、ないし「かつやで十分」「かつやで腹一杯になるほうがずっとコスパがいい」、そう考えるのももっともだ。

 

 かく言う今井君も、かつやのカツ丼を昼メシに貪るのは大好きだ。お昼過ぎの代々木駅前のかつやに入って、ヒレカツ定食に豚汁(大)を注文すれば、晩メシもいらないぐらいの腹パンパンになる。特に豚汁(大)、「こりゃ洗面器ですか?」というレベルのドデカいお椀にビックリする。

(夏の思ひ出:瀬戸内海の大久野島にて。80年前は「毒ガスの島」だったが、いまはウサギたちの遊ぶ平和な島である 2)

 

 とは言っても諸君、「洗面器」、こりゃもしかして死語になっているんじゃないか、そうも思うのだ。さっきNHKのテレビニュースを眺めていたら、「ジャガイモの菓子」という恐るべき名詞が登場していたが、北海道の石勝線が大雨で不通になり、「ジャガイモの菓子をトラック輸送している」んだそうだ。

 

 すると諸君、ワタクシは「洗面器」と言ふ古風なものが今もなお存在しているか、それが心配でならなくなる。だって諸君、「ジャガイモの菓子」であるよ。そんな珍奇な名詞が存在する世の中で「洗面器」、どうやって生存を続けるんだ? そっちのほうが心配で、トンカツの話題を書き続ける元気がグニャリとひしゃげてしまう。

(夏の思ひ出:瀬戸内海の大久野島にて。80年前は「毒ガスの島」だったが、いまはウサギたちの遊ぶ平和な島である 3)

 

 まあいいか、とにかく若い諸君、もっとグイグイ元気を出したまえ。首都圏に住んでいるんなら、たまには銀座や渋谷を奥深くまで探険し、チェーン店以外のトンカツに思い切ってむしゃぶりついてみたまえ。

 

 新宿なら「頓珍漢」、銀座なら「とん喜」「梅林」、高田馬場や荻窪なら絶品トンカツの店は数知れず。地元のチェーン店にばかり住み着いてちゃいかん。今井君はこれからもまだまだ、都内の名店を探索し続けますぞ。決して外国人観光客に押されてしょんぼりなんてことはしませんぞ。

 

 京都&大阪&神戸も、やっぱり心配だ。大阪ミナミなんか、すでに「ほぼ外国人のみ」と化していないか? 特に「黒門市場」、文楽ファンのワタクシは心配でならない。

(夏の思ひ出:7月12日、瀬戸内海「御手洗島」でジャポニカ学習帳にピッタリの写真を1枚)

 

 人形浄瑠璃・文楽を眺めてすでに40年以上が経過した。文楽を観るためだけに大阪を1年につき4回も訪れ、宿泊は南海難波駅上のスイスホテル。難波から国立文楽劇場までは猛スピードの徒歩で向かう。すると諸君、どうしても黒門市場を経由し、その激しい荒廃ぶりに深い溜め息をつく。

 

 だって諸君、かつては「大阪の台所」として大阪ミナミ独特の活気あふれる町だった黒門市場、例の大阪のオバチャンたちの威勢のいい大阪弁が、黒門市場からほぼ完全に消えている。大阪のイケてる若者なんか、ここではほとんど絶滅危惧種、ミナミの外周地域でしか見かけなくなった。

 

 聞こえてくるのは、ちょっと波長の短い甲高いアジア系言語ばかり。問題は何よりもニオイであって、牛串やら焼きカニ足やら海鮮串やらをもうもうと煙を上げながら焼き続けるニオイに、ほとんど息も出来ない有様だ。日本語なんかほとんど聞こえず、半世紀以上も黒門市場で商売を続けてきた数少ない老舗商店は、もう息も絶え絶えの様子なのだ。

(夏の思ひ出:7月12日、御手洗島を訪問。静かな島は、かつて瀬戸内海の交易で繁栄した 1)

 

 ワタクシは、首都圏や関西圏の若者たちにばかり訴えかけているのではない。札幌も名古屋も広島も福岡も同じだし、地域の中核をなしている中規模都市もみんな同じことだ。若者諸君、青年諸君、もっともっと街に出てきたまえ。

 

 予備校講師を30年以上もやってきたワタクシが言うのもなんだが、若い諸君はちょっと勉強のしすぎだ。塾に入りびたって、大量の宿題まで出され、その宿題の処理のために学校の勉強の方がお留守、文化祭も体育祭もお留守。「もう騎馬戦どころじゃありません」「棒倒しは危険なので中止です」、そんな青年期では寂しいじゃないか。

 

 大学生世代も、新入社員世代も、30歳代も40歳代もみんなおんなじだ。そりゃ「大学院生です」と言うなら勉強漬けは当然だけれども、それ以外の諸君は、もっともっと渋谷に銀座、キタにミナミ、福岡天神に札幌ススキノに名古屋サカエ、街を縦横無尽に闊歩しなきゃいかん。実はそれこそ正しい勉強の一部分だと愚考する。

(夏の思ひ出:7月12日、御手洗島を訪問。静かな島は、かつて瀬戸内海の交易で繁栄した 2)

 

 黒門市場を外国人軍団に明け渡してしまったのは、マジメすぎる日本の青年層の勉強のしすぎが一因だ。「スマホで勉強」、それもいいだろうけれども、出来るならば週に1日、いや週に2日、「NO♡スマホデー」を設定して、キタ&ミナミに渋谷&銀座カッポday、サカエにススキノに天神カッポdayを設定しないか。

 

 いや、そうでなきゃいかん。聞けば、青森県弘前市のデパート「中三」が、8月末にいきなり倒産。従業員は突然の解雇を言い渡されて、当たり前だが呆然と天を仰いだんだと聞く。

 

 こりゃダメだ、「中三」を倒産に追い込むなんて、いったい我々日本人は何をしていたんだ? 「中三」と書いて「チューサン」ではなくて「なかさん」、1896年創業で最初は呉服店、百貨店としての営業も60年以上。津軽出身の作家たち、例えば太宰治に葛西善蔵に石坂洋次郎あたりも、頻繁にこの店を訪問しただろう。

(夏の思ひ出:7月12日、三原港から広島宇品港まで「シースピカ」に乗船。いやはや楽しい3時間だった)

 

 イトーヨーカドーだってそうだ。こんなに遠慮会釈なしにバンバン、ほとんど無差別に近い閉店ラッシュだなんて、ワタクシは納得できないのだ。

 

 中でも埼玉県春日部市、昭和から平成の春日部市の大発展の象徴だったこの店を、単なるクレヨンしんちゃんの思い出としてしか報道しないマスコミは、いったい何を考えてるんだ?

 

 埼玉の東部地域は、近現代日本の急成長の縮図なのである。江戸期・明治期・大正期を通じて、埼玉東部は果てしなく広がる大湿地帯。昭和30年代に入ってもなお、見渡す限りの湿田地帯の泥の中に、ポツンと東武線の駅が浮かんでいた。

(夏の思ひ出:7月12日、大好きな広島グランドプリンスホテルに宿泊。岸田サンの晴れ舞台だったG7サミットから、もうずいぶん時間が経過した)

 

 木造だった春日部駅の西口も、やっぱりどこまでも湿田、ちょっと大雨が降るたびに駅前は水浸しになり、昭和の終わりになってようやく市街化が進んだ。西口のイトーヨーカドーは、その急速な市街化のシンボルであって、イトーヨーカドーを中心に近代化と現代化が同時進行した。

 

 そのイトーヨーカドーを、クレヨンしんちゃんやサトーココロカドーだけの話に要約して「地元の人は寂しそうです」の一言で終わらせてはならない。これは間違いなく、日本の大繁栄の時代のオシマイを象徴するヒトコマだ。

 

 日本中の青年諸君、こんなにカンタンな国の衰退を、宿題やテストやシューカツや、明日の会議やプレゼンを理由に、黙って座って認めてしまってはならない。15年前の石原慎太郎どんではないが「たちあがれ日本」であり「たち日」であり、「立ち上がれ青年諸君」なのである。

(夏の思ひ出:7月13日、広島から福岡経由で沖縄に向かう 1)

 

 この場合、「だから投票に行きましょう」とか「あなたの一票が日本を変えます」とか、そういうキレイゴトで終わらせてはならない。そんなの、当たり前すぎる。

 

 今井君としては、「だからトンカツ屋に行きましょう」「あなたのトンカツが日本を蘇らせます」「キミが貪るカレーの一皿が、大阪を東京を、札幌と名古屋と福岡を蘇らせます」なのだ。

 

 諸君、もっともっとデパートを探検しに行きたまえ。秋田の本金デパートや、盛岡の川徳デパートや、仙台の藤崎デパートを、これ以上衰退させてはならない。熊本の鶴屋デパートや、岡山の「天満屋」や、金沢や富山の「大和」を、これ以上引っ込み思案にしてはならない。

 

 ママたちにもパパたちにも、バーチャンやジーチャンにも、どんどん進言してくれたまえ。デパートに行こう。黒門市場に行きまへんか? 外国人観光客が席巻しつつある街を、再び日本人の昼ゴハンや晩ゴハンのメッカとして復活させまへんか?

 

 金沢の近江市場や京都の錦市場も、やっぱり今のワタクシはギュッと深刻に心配だ。もう外国人しか見かけないこともしばしば。大阪の黒門市場みたいに、3000円の牛串だの、5000円の焼きカニ足だの、そんな強烈なニオイとボッタクリ系に席巻されることがあってはならないと思うのだ。

(夏の思ひ出:7月13日、広島から福岡経由で沖縄に向かう 2)

 

 諸君、街に出よう。自由になるオカネがなければ、何とかして稼げばいいじゃないか。大量の宿題を課して生徒を潰しちゃう塾なんか、今すぐヤメてしまって構わない。講師に教える力がない塾は、教える代わりに大量の宿題でゴマかすしか能がないのだ。

 

 プレゼンの資料作りに忙しすぎるのは、ムダな資料を作りすぎているだけだ。資料の量でゴマかすのはヤメにして、熱意と話術とコミュ力で勝負するほうが成果が出る。そういう熱意も話術もコミュ力も、実はみんな街での熱い生活の中で育つものじゃないか。

 

 ま、以上が諸君、準・古老こと今井♡ジュンコローの意見である。古老の馬鹿話と侮ってはいけない。同じコローでも、「古老」の他に「狐狼」もあれば「虎狼」もある。勇ましい虎狼に負けず劣らず、準・古老の意見も決して侮れないもののはずである。

 

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2E(Cd) Lazar Berman:LISZT/ANNÉE DE PÈLERINAGE

3E(Cd) Lazar Berman, Carlo Maria Giulini & Wiener:LISZT/PIANO CONCERTOS NOS 1

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